■同族さえも殺し喰らう暴君!『HUNTER×HUNTER』メルエム(初期)

 冨樫義博氏による『HUNTER×HUNTER』に登場するメルエムは、他生物を捕食しその特徴を受け継ぐことで進化してきた種族“キメラ=アント”の王である。

 彼は自分以外の存在を家畜や餌と見なしており、食べようとした相手が命乞いをしてもまったく耳を貸さない。メルエム曰く、「お前らは豚や牛の命乞いに 耳を貸したことがあるか?」。ただしこれについては種として生きるための営みなので、人間にとっての脅威ではあっても単純に“悪”と見なすことはできない。

 メルエムが恐ろしいのは、同種であるはずの部下も平然と殺し喰らうところである。彼は“王”として自分が絶対的存在であるという自負を持っており、それを貶めるような言動を一切認めない。

 ちなみに“立場を貶める”意図があったかどうかはメルエムが判断することであり、部下は一切言い訳できないどころか、理由さえわからず死んでいくなんてこともザラである。

 一番ひどかったのは、とある部下に尻尾を拭くよう命じた際、横から気を利かせて「私め 丁度ハンケチを持っておりまして」と申し出た別の部下を瞬殺したシーン。お前には言ってない的な意味だったのだろうが、気の毒すぎる。

 そんなメルエムは人間の少女・コムギと出会ってから少しずつ変わっていくのだが、それはまた別の話。彼らの物語は何度読んでもぐっときてしまう。

 

 “上司になってほしくないキャラ”、似たような面々を選ぶ人も多いと思うのだが、いかがだろうか。こうしてまとめながら誰が一番マシか考えてみたのだが、どうせ結果は同じだから考えるだけ無駄という結論に至ってしまった。早いところ、ヤバそうな人間に当たったら逃げる術を身につけておきたいところである。

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