■大阪予選で個人得点第3位の実力者
また粗暴そうな見た目ながら、繊細な技術と高い精神力が要求される3ポイントを見事に決めたのが、湘北高校が全国大会初戦でぶつかった大阪代表・豊玉高校の板倉大二朗だ。
宮城に対して見せた「おうおうチビの相手もラクやないで!!」「ボン!!」「ボボォン!!」「どんどん入れまっせェ!!」などの挑発行為が印象的な彼だが、板倉のプレイを記憶している読者がどれぐらいいるのだろう。ポイントガードの板倉は183cmと高身長で、さらに大阪予選では個人得点ランキングは第3位で、1試合平均25得点という成績を残している実力者。
湘北戦でも持ち前の高身長と得点力を活かし、ゴール近辺のシュートだけでなく、3ポイントシュートまで着実に点を決めてみせる。もちろんシュートレンジに顔は関係ないが、湘北ベンチから漏れた「顔のわりに何てきれいなシュートフォームだ!!」という嘆きは、多くの読者が共感したセリフだろう。
数々の暴言や挑発行為、また審判にだけは下手に出るなど、読者からは好かれそうにない板倉。だが2年生ながらチームを支えるプレイヤーで、エースの南を尊敬し心配する姿勢も見せていた。粗暴な見た目の裏で、実は意外な顔を持つキャラなのかもしれない。
■全ポジションを経験し、高校最強センターとなった河田
「スラムダンクの最強プレイヤーは誰か?」という議論において、ファンの間で必ずといっていいほど名前が挙がるのが、山王工業高校の河田雅史だ。作中では、高校生にして大学バスケの中でもセンターでトップ3に入ると評価されている。
河田はもともとセンターではなく、入学当初は165cmで小柄だったため、ガードだった。そこから1年で身長が25cm伸びていく過程で「ガード」「フォワード」「センター」とポジションチェンジ。すべてのポジションを経験したことで、非常に高い対応能力を手に入れたのだった。
そのため、3ポイントシュートの技術にも長けており、湘北戦でも披露している。シュートこそ決まらなかったものの、マッチアップした赤木が基本中の基本であるスクリーンアウトを忘れてしまうなど、これまでも対戦相手を何度も翻弄してきたに違いない。
沢北からも「河田さんはゴツイ顔のわりにシュートエリアは広いから大丈夫」と信頼されている。河田自身も「顔とシュートエリアが関係あんのか!!」とツッコミを入れているが、もちろんここでも顔は関係ない。とはいえ大柄のセンター・河田を前にした選手は、なんとかゴール下に近づけないよう苦心するはず。そうした矢先に外からシュートを放たれた際の驚きたるや、選手の味わう絶望感はすさまじいだろう。
以上、今回は名シューター以外のキャラが見せた3ポイントの場面を振り返った。3人に共通しているのは、見た目で判断してはいけない意外性をもっているということだろう。『SLAM DUNK』では、意外な一面を持つキャラが多く存在している。コマの細かな部分まで見ていくことで、キャラクターの知らなかった顔に出会えるかもしれない。