2021年4月に、約12年間の連載を終えた諫山創氏の漫画『進撃の巨人』(講談社)。壮大で緻密なストーリーと細部まで練り込まれた数々の伏線で、読者を最後まで惹きつけたダーク・ファンタジーの名作だ。また、ハードな展開である物語の性質上、登場するキャラクターが多く死亡することでも有名な作品となっており、自らの信念に従って死を賭した戦いを選んだキャラたちの生き様に多くの読者が涙したことだろう。
しかし、中には「死んでしまうのではないか?」と読者から予測されたにも関わらず、最後まで生き残ったキャラクターもいる。そこで、今回は死にそうだと思われていたが、生きてエンディングを迎えることができた代表的なキャラクター3人について紹介したい。
※以下には、コミック『進撃の巨人』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。
■“人類最強”の調査兵団兵士長
人類最強の称号のとおり、作中を通して活躍し続けたリヴァイ・アッカーマン。人気・実力ともに申し分ないリヴァイだが、なぜか「いつか死んでしまうのではないか」と多くの読者から思われていた。その理由を敢えてひとことでまとめるなら、「強すぎるから」ではないだろうか。
身長160cm、体重65kgと小柄な体格でありながら、巨人をいとも簡単に倒してしまう驚愕の強さをもっているリヴァイ。その実力は、4000人の一個旅団並みの戦力に相当するとも言われている。その強さの秘訣は「アッカーマン一族の血」にあり、巨人と同じ身体能力を引き出し、体を使いこなすためのブレーキ解除を100%意図的に行うことができるためだった。
作中でも随一の強さを持つリヴァイだが、それゆえ読者を不安にさせたとも言える。というのも、一般的に強すぎるキャラクターは退場させられることが多いからだ。強すぎることによって、ストーリーの進行とともに敵キャラクターとの強さのバランスを描くのが難しくなっていき、いわゆる「パワーインフレ」を起こしてしまいがちで、それをリセットするためには退場させるのが手っ取り早い解決法だ。
しかし、結局『進撃の巨人』ではリヴァイを退場させるという選択は行われず、彼は最後まで最強の兵士として戦い抜くこととなった。最後のシーンで見せたリヴァイらしい言葉と一筋の涙に、多くの読者が心をつかまれたに違いない。