『名探偵コナン』でコナンに頼らず“毛利小五郎が自力で解決した”難事件3選の画像
『名探偵コナンセレクション 毛利小五郎編』(小学館)

 青山剛昌氏による『名探偵コナン』(小学館)は、全世界で累計発行部数が2億7000万部を超える人気作品だ(2023年2月時点)。今年の4月14日には劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影』の公開が決定しており、今後の展開も見逃せない。

 そんな本作でお馴染みのキャラといえば、毛利小五郎だ。彼は酒とギャンブルが好きで、いつも的外れな推理をしている“ヘボ探偵”という印象が強い。いつもコナンが麻酔針で眠らせて事件を解決しているため、「探偵として能力が低いのでは?」と思う人も多いだろうが、そうとは言い切れない。実は、小五郎が自力で解決した難事件もいくつかあるのだ。

 今回はそんな事件を中心に、小五郎がコナンの力を借りずに解決した事件を紹介していきたい。

※以下には、コミック、テレビアニメ『名探偵コナン』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。

 

■推理力に一本背負い…小五郎が大活躍した「小五郎の同窓会殺人事件」

 小五郎の同級生が、被害者と加害者になる事件がある。それがコミックス9巻に収録されている「小五郎の同窓会殺人事件」だ。

 この事件は、小五郎の大学の柔道部の同窓会が行われた温泉旅館で起こった。被害者は柔道部の元マネージャーの堀越由美で、拳銃で頭を撃ち抜かれて死んでいたところを発見される。自殺なら銃口を付けた部分が火傷してしまうが、由美の死体にはそれが見られなかったため、小五郎は他殺だと断定する。

 この事件の犯人は現職警察官である中道和志なのだが、彼は刑事の経験を活かし、由美の死亡推定時刻をずらして完璧なアリバイを作っていた。中道が犯人だということに気づくも、なかなか確たる証拠を見つけられない小五郎。しかし、由美を発見した直後の彼の不自然な言動を思い出し、問い詰める。

 結果的に中道は自らの犯行を認めるも、彼を取り押さえようとしたほかの同級生を次々に投げ飛ばす。だが、小五郎はそんな中道の前に立ち、見事な一本背負いを決めるのだ。柔道でも推理でも小五郎に勝てないと思った中道はすっきりした様子を見せ、観念することになる。

 推理だけではなく、小五郎の強さを見ることができた珍しい事件でもある。

■コナンを上回る洞察力を見せた…!?「見えない容疑者」

 コミックス37巻に収録されている「見えない容疑者」の回では、小五郎がコナンを上回る洞察力で事件を解決に導いている。

 小五郎は幼なじみであり元癒やし系女優の瑠璃に呼ばれ、俳優の代役で推理ドラマに出演することに。そこでは評判の悪い俳優の風見が、我が物顔で現場をかき乱していた。そして、撮影の休憩中、その風見が首を切られて死体で発見される……。

 この事件の犯人は、共演者の南雲暁だった。南雲は売れない劇団員時代、交際していた瑠璃の母親が妊娠したのを知らないまま別れてしまう。成長した娘・瑠璃とドラマの現場で偶然出会い、互いに本当の親子だと気付いた二人は人目を忍んで何度か会っていたのだが、そのことを風見に怪しまれていた。瑠璃の出生の秘密や実の親子だと公表されることを恐れ、南雲は風見を殺害することに。

 父親である南雲が犯人だと知った瑠璃は、彼を庇い、フォローをする。しかし、小五郎は自力で犯人・南雲に辿り着いたうえ、二人を“愛人関係”だと思っていたコナンとは違って、父親の視点から二人が“親子”だということも見抜いており、自首をするようにと瑠璃に勧めるのだ。

 事件のことを黙認してほしいと瑠璃に頼まれるも「幼なじみのお前を……こんなつらくて悲しいウソで一生縛りたくはねーからな……」と、きっぱり断る小五郎。

 コナンを上回る洞察力で犯人を導き出し、幼馴染の女性に対して気遣いの言葉を掛けた、稀に見る小五郎のカッコ良すぎる事件だった。

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