歌詞の意味がわかると怖い「みんなのうた」3選!母の帰りを待つ少女の歌に、細川ふみえの楽曲もの画像
「NHK みんなのうた」DVD-BOX
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 1961年放送開始という長い歴史を持つNHKの音楽番組「みんなのうた」。番組プロデューサーの関山幹人氏は「子どもたちが口にするのは、美しく健康的な歌詞とメロディーのうたであってほしいという思いから、『みんなのうた』は誕生しました」と語っている。

 しかし「みんなのうた」には「美しく健康的な歌詞とメロディーのうた」が多く並ぶ中、ひときわ異彩を放つ、聞いているうちに底知れぬ不安に苛まれてしまうような不気味なものや、なんだか悲しい気持ちになるようなものも少なくない。大人になってあらためて映像や歌詞を見ると「実はこんなに怖い曲だったんだ」と気づくこともしばしばだ。そこで今回は、パッと聞いただけでは気づかなかったが、意味がわかると怖い「みんなのうた」を3曲紹介したい。

 まずは、1994年に放送されていた「アフターマン」。これはネットで「生物学三大奇書」としても名前が上がる、サイエンスライターでイラストレーターでもあるドゥーガル・ディクソン氏による1981年の著作『アフターマン』をベースにした楽曲。現在は児童向けに『アフターマン 人類滅亡後の動物の図鑑』が刊行されているこの書籍の副題は「人類滅亡後の地球を支配する動物世界」である。

 そのタイトル通り、この曲は少年がタイムマシンで5000万年後の地球に行き、未来の生物たちと出会うという歌詞になっている。そこにすでに人類はいない。環境に適応して生き残った動物たちが進化をとげて地球を支配しており、映像でもコウモリの子孫「ナイト・ストーカー」や「フローアー」がアニメで登場している。

 歌っているのはアニメ『ONE PIECE』ナミ役の声優・岡村明美で、明るい曲調におどけた歌詞からは悲壮感は漂ってこない。

 しかし歌詞をよく聞いてみると、我々が日頃当たり前に話すような迷信や言い伝えを語り継ぐ人がいなくなったということが暗示されている。不確かなものを情緒的に語る文化的な生き物はおらず、動物的で本能的な世界になってしまったということだ。

 またあらゆる機械は過去のものとなっており、ここからも文明の崩壊が感じられる。しかし、登場する動物たちはどこまでもみな笑顔のまま。「アフターマン」が笑顔にあふれた世界だからこそ、逆に不気味な、ある種の怖さを感じるのだ。

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