■人を殺さずに任務完了する伝説の殺し屋『ザ・ファブル』の佐藤明

 最後は『週刊ヤングマガジン』(講談社)で2014年から連載された南勝久氏の『ザ・ファブル』だ。

 ある組織に属する伝説的な殺し屋が1年間休業を命じられ、普通の一般人として生活するという異色作だ。まあ、この作品は上記2作品と比較しても、主人公が基本的に殺さないと決めているので、安心して見ていられる。

 “殺せるのに殺さない殺し屋”という主人公・佐藤明(偽名)は世間知らずな面が多いものの、基本的にいい人であり、義理人情にも厚い。休業中は組織の一員で妹役の洋子(偽名)と暮らしていたのでいい雰囲気になるかと思いきや、まったくならないものだった……。

 佐藤は殺し屋としてプロの自覚を持っており、瞬時に相手が素人であると判断することも可能で、極力無駄な争いは避けている。裏社会では「ファブル」と呼ばれ、伝説扱いされて恐れられており、銃器の腕前はもちろん接近戦の近接格闘術も超一流。どんな敵でも6秒以内に殺せるというのだから、『イコライザー』のデンゼル・ワシントンもびっくりであろう。ある意味、デューク東郷とも互角に戦えるかもしれない。

 自宅でいつも全裸で過ごしていたり、浴槽で丸まって寝たりする奇妙なクセはあるものの、魅力的なキャラであることは間違いない。

 

 さて、殺し屋が主人公の漫画ともなると、残虐なシーンも多くあり、気が重くなることもある。しかし、そこは“漫画”として切り替えると面白さもあって、次が読みたくなったものだ。

 ちなみに、ここで挙げた主人公たちが戦ってみたらどのキャラが一番強いのか?と、想像してしまうな。

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