号泣必至!死んでしまって悲しいけれど…少女漫画の「死に際がカッコ良かった」キャラクター3選の画像
画像はフラワーコミックス『ふしぎ遊戯』第1巻(小学館)

 少年漫画といえば「熱いバトル」、少女漫画といえばドキドキする「恋愛もの」というイメージはないだろうか。確かに少年漫画には読みながら震えてしまうほどの白熱のバトルや、その結果残念ながら命を落としてしまうキャラクターもおり、読者はその世界観にどっぷりと浸ることができる。

 中には『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』で活躍を見せた煉獄杏寿郎のような、その生きざまが大きな話題を呼び、日本の映画史に残るようなキャラクターもいる。

 しかし恋愛ものばかりと思われがちな少女漫画にも、立派な生きざまを見せ、読者がつい涙をこぼさずにはいられないほどに、死に際がカッコ良かったキャラクターが多く存在する。今回はそんな少女漫画の中の英雄たちを紹介したい。

■穏やかな表情で迎えた最期

 まずは『別冊少女コミック』(小学館)にて1985年から1994年まで連載されていた吉田秋生氏による『BANANA FISH』。これまで数度にわたって舞台化され、2018年にはアニメ化されるなど長きにわたって愛される名作だ。

 内容は、1980年代のニューヨークのダウンタウンを舞台に「バナナフィッシュ」という謎のキーワードを巡って繰り広げられるストリートギャングたちの姿を描いた、ハードな世界観の物語。

 そして同作のラストで、主人公のアッシュは図書館で英二からの手紙を読み涙した後、ショーターの子分であったラオに刺されてしまう。自身の命がもう長くないと悟ったアッシュはもう一度図書館に戻り、もう一度手紙を読みながら笑顔で絶命していく。

 英二と強い絆で結ばれたアッシュが、いつ命を落とすかというハラハラする展開。最後まで読者が幸せを願ってやまなかった彼の死だが、最後の瞬間の幸せそうな表情に救われたという人は多いのではないだろうか。

 その圧倒的な世界観で多くの読者をトリコにしてきた『BANANA FISH』。作品の象徴といえるアッシュの人生は悲しくもひたすらカッコ良く描かれていた。

■ヒロインの背中を押した柳宿

 続いては1992年から1996年に『少女コミック』(小学館)に連載された渡瀬悠宇氏の『ふしぎ遊戯』から。

 これは「四神天地書」という書物を開いたことをきっかけに主人公の女子中学生が古代中国に似た異世界に転移し、そこで元の世界に帰るために朱雀の巫女となって「七星士」と呼ばれる仲間たちを探す物語。

 恋愛を絡めたファンタジー要素のある冒険もので、当時の少女たちは夢中になって物語に没頭した。しかし神獣召喚のために神座宝を探す道中で、仲間の一人が初めて命を落とすこととなる。

 それは男性でありながらも初登場時は女性の格好をして後宮入りし、主人公の美朱にイジワルをすることも多かった頼れる姉御肌の柳宿(ぬりこ)だ。作品のムードメーカーでもあり読者人気も高かった彼。最終的には男として美朱への恋心を自覚するも、主人公らの仲を応援する一番の相談相手だった。

 そんな柳宿だが、黒山で神座宝を探すため一人になったところを背後から敵に襲われてしまう。致命傷を負いながらなんとか勝利するものの、山の入口の大岩を退けられるのは怪力の持ち主の自分だけと思い、自身の力が残っているうちにと最後の力で大岩を退けて冷たい雪山の中で力尽きてしまう。朱雀側の初の犠牲者だった。

 彼が亡くなる前に美朱に伝えた温かいセリフは、涙無くして読めない名言。死んで悲しいけれど、誰よりも美朱と読者を元気づけてくれた、生きざまも死に際もカッコ良すぎるキャラクターだった。

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