■『湘南純愛組!』怒涛の展開が熱い! 超ゲスな大久保に英吉がブチ切れる
藤沢とおる氏による『湘南純愛組!』(講談社)では主人公である「鬼爆コンビ」の一人、鬼塚英吉も“怒髪天を衝く”者だ。とくに鬼爆の解散危機と重なった“エグリ屋”の大久保光明の登場シーンは、強く印象に残っている。この大久保という男、とにかく卑怯でどうしようもない超ゲスなヤツなのだ。
極東高校の朝倉良明は、かつて中学時代の英吉を刺して恐怖に陥れた大久保に英吉への制裁を依頼する。大久保は依頼料として“100万円と恋人を差し出す”という条件を朝倉に突きつけ、なかば恐喝まがいで無茶な条件を飲ませた。いや、なんでやねん!と言いたいところだが、そこは大久保のゲスさを強調していたともいえよう。
英吉は相棒の龍二に相談しようにも、彼は恋人の鮎美との結婚資金を貯めようとアルバイトをし、彼女の両親へ挨拶するため不良を卒業しようと決意していた。その姿を見てしまった英吉は龍二に何も言わず、1人でカタをつけようと大久保にタイマンを申し込む。
しかし、大久保は仲間を大勢連れ奇襲を仕掛けてくる。その場に龍二も駆け付けるも、英吉は彼のためを思って殴りつけ、鬼爆解散を促すことに……。
龍二が鮎美の両親へ挨拶に赴く日、大久保はまたも英吉を襲ってボコボコにし、仲間を人質に取る。それを知った龍二は葛藤するも、その後「やっぱおめーも大切だからよ」と、英吉を助けに行くのだ。ここからは、鬼爆復活の怒涛の展開となっていく。
仲間を傷つけ、朝倉の彼女に暴行し、幸せを掴むはずだった龍二と鮎美の将来を壊した大久保に対し、英吉はまさに「怒髪天を衝く」状態ですべての怒りをぶつけ、限界を突破して圧倒する。
まあ、大久保はどうしようもないので別にいいのだが、なんといっても可哀そうだったのは女性陣2人だったな……。
■【番外編】『SLAM DUNK』まさに“白髪鬼”…!? 花道もビビった安西先生の「聞こえんのか?」
主人公ではないが「怒髪天を衝く」といえば、井上雄彦氏の『SLAMDUNK』(集英社)に登場する安西先生を思い出す。
インターハイで高校最強の山王工業との試合中、一度ベンチに退けられた主人公・桜木花道は悔しさから安西先生の話に耳を貸さなかった。すると、いつもの温厚な姿はどこへやら、安西先生は髪を逆立て「聞こえんのか? あ?」と、“白髪鬼”へと変貌。
さすがの花道もビビったようで、素直に言うことを聞いていたな……。
数々のキャラが見せた「怒髪天を衝く」の姿。インパクトが強いからこそ、読者の心にも深く刻まれるシーンが多い。これからも多くの漫画やアニメで、そんなキャラたちの姿を目にすることだろう。