『ドラゴンボール』や『花の慶次』にも…まさに“怒髪天を衝く”! 衝撃の怒りで相手を圧倒したカッコいい主人公たちの画像
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 漫画の主人公たちは時に優しさばかりではない。我を忘れるほどのとてつもない怒りで、相手を圧倒することもしばしばある。まさに故事にある「怒髪天を衝く」だ。

 “怒りで髪が天を衝つくほど逆立つさま”を表すこの故事は『キングダム』(集英社)にも少し登場する藺相如(りん・しょうじょ、作中ではすでに死去)が由来となっており、約束を守ろうとしなかった昭王相手に激怒した彼の様子から来ている。

 そんな「怒髪天を衝く」シーンは、ほかの漫画の主人公でも数多く描かれている。そこで、筆者の印象に残っているキャラを紹介していきたい。

■やはり激アツ!「クリリンのことかーーーっ!!!!!」超サイヤ人と覚醒した孫悟空『ドラゴンボール』

 これは外せないだろう。まさに「怒髪天を衝く」に相応しいのが、鳥山明氏による『ドラゴンボール』(集英社)の主人公・孫悟空だ。

 フリーザ編ではどれだけ界王拳を使っても致命的なダメージを与えることができず、フリーザの強さが浮き彫りとなっていった。しかし、元気玉が直撃したあとのフリーザはさすがに命の危険を感じたらしく、怒りに震えてその残忍さをクリリンに向けてしまう。

 そして無残にも殺されるクリリン……大の親友を目の前で殺された悟空はキレてしまい、とうとうスーパーサイヤ人になるのだ。

 覚醒した悟空の強さに追い込まれたフリーザは、さらに悟空を怒らせる発言をしてしまう。それが「こっぱみじんにしてやる あの地球人のように!!!!」だ。その言葉を聞いた悟空は「クリリンのことかーーーっ!!!!!」と絶叫し、まさに“怒髪天を衝く”状態になった。

 なぜ余計な一言を言ってしまうのだフリーザよ……。自業自得だぞ。その後はフリーザを圧倒する悟空の強さによって、どんどん格下げになっていくのがちょっと切なかったな……。

■この顔で睨まれたら…利沙を助けるためにキレまくる前田慶次『花の慶次 ー雲のかなたに−』

 原作:隆慶一郎氏、作画:原哲夫氏による『花の慶次 −雲のかなたに−』(集英社)の主人公・前田慶次も、普段は優しいがキレると恐ろしい。作中何度も怒る場面があるのだが、琉球編では“いくさ人”としての彼の本性が顕著に出ていた。

 強敵・カルロスとの一戦を終えるも船が難破してしまい、漂流先で出会った利沙と惹かれ合う慶次。しかし、マムシの火嘉が利沙を奪おうとし、町の長老を惨殺した際には大激怒。そして、琉球王国に連れ去られた利沙を取り戻すべく、毛虎親方や竜嶽親方という強敵との闘いでもその理不尽さに怒り狂う。ここでの慶次の圧倒的な強さはすごかった……。

 しかし、筆者がこの琉球編で一番ビビったのが、女海賊の頭目・春麗の船に乗り込んだときだ。実は、利沙の情報を琉球王国の高官に売り飛ばしたのが、利沙の父・与四郎が信頼し、春麗の船に潜伏させていた武という配下だったのだ。

 このことが判明し、怒って武に睨みを利かせる慶次……この表情がなんとも恐ろしい。解説には“武が失禁した”とあるが、確かにこんな顔で睨まれたらチビッてしまうだろうな……。

 資料が少ないので不明点も多いのだが、慶次は信長や家康とそれほど年齢が変わらない。となれば、琉球編ではすでに50代後半にさしかかろうというくらいだろう。そんな中年男が旅をして惚れた女を命がけで取り戻すなんて、なんてカッコいいのだ慶次!

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