■アムロを最も追い詰めたキャラの一人「トクワン搭乗ビグロ」

 本記事で紹介する3機体とパイロットのうち、知名度が一番ありそうなのがテレビ版『機動戦士ガンダム』第31話「ザンジバル、追撃!」に登場した「ビグロ」と「トクワン」。ビグロはジオン軍が初めて宇宙戦用に投入したモビルアーマーで、パイロットはトクワン大尉。劇中ではあまり目立たないが、やはりビグロのパイロットということで、ゲーム作品ではそこそこ頻繁に名前を見かけるキャラクターではないだろうか。

 ビグロは2基の熱核ロケットエンジンを搭載した推進器によって超高速の機動力を実現した機体。その機動性を活かしてセイラの乗るGブル・イージーを圧倒し、分離状態から合体したアムロのガンダムに対してもギリギリまで追い詰めている。

 ビグロと一騎討ちをすることになったガンダムだったが、ビグロの足にたまたま腕が引っかかってしまい、そして高速移動によって発生するGによりアムロはコクピット内で気を失ってしまう。「付属物がついたぞ、まさかガンダムが……」とトクワンがアームを伸ばしてガンダムを挟むと、メガ粒子砲を浴びせようとする。しかしアムロが間一髪のところで目を覚まし、逆に撃ち抜かれるという展開だ。

 アムロが目覚めるのがあと1秒でも遅かったら撃墜できていたかもしれないという、緊迫した一戦であった。

 どちらかというとアムロ側のミスではあったが、この時期のアムロは地上で数々の戦闘を潜り抜けて、パイロットとしてもニュータイプとしても強くなっている。そんな中で、もう少しというところまでガンダムを追い詰めたキャラクターは、エースパイロットを含めてもかなり珍しい。

■隠れた実力派パイロット「名無し搭乗リック・ドム」

 最後に紹介するのは、おそらく今回の中で最も知名度が低いであろう、名無し搭乗のリック・ドム。ファンの間で「名無しドム」と呼ばれるこの機体のパイロットについて、詳細は劇中で描写されていない。そのため見た目や名前も不明だ。

「名無しドム」が登場するのはザクレロが登場するテレビ版『機動戦士ガンダム』の第32話「強行突破作戦」。前述のビグロの次の話になるので、やはりこの時期のアムロは鬼神のごとき強さ。

 このエピソードでムサイ数隻、リック・ドム数機をなぎ倒したアムロだったが、最後に一瞬対峙したドム一機が「実は強いのでは」とたびたび注目されるのだ。このドムはガンダムに接近戦を仕掛け、真正面からアムロのビームサーベルを避けている。それも、下へ潜り込む形で紙一重のところで避け、反撃のチャンスまで作っているという技巧っぷりだ。誰もが怯んでしまうアムロに対して、反撃まで考える余裕を感じる動きをするシーンは、エースパイロットを含めても中々に見ることができない。

 そして「名無しドム」は、その反撃の刃でガンダムのシールドを切り裂き、あと少しでガンダムの腰部分を切り裂けるところまで肉薄。しかしガンダムがシールドの下にビームサーベルを仕込んでいたことで、防がれてしまうこととなった。

 わずか数秒の戦闘シーンだが、おそらく仕込みビームサーベルが無ければガンダムはやられていただろう。パイロットは描写的にはモブだが、ネームドのエースパイロットに迫る腕前であることは、想像に難くない。

 ゲームなどでは黒い三連星や赤い彗星など、二つ名を持つエースパイロットが注目されがちだ。しかし、名無しの人物が主人公に肉薄するエピソードも想像力が掻き立てられ、ロマンを感じるものである。

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