NHKで放送されるアニメはクオリティが高いと安心しているファンは多いのではないだろうか。近年では『キングダム』や『進撃の巨人』など、長期連載作が何クールにも分けて丁寧に描かれており、また1話1話のアニメーションも美しく原作ファンにとっても満足のいく作品が多い。
最近のNHKではこのほかにも『映像研には手を出すな!』や1期『不滅のあなたへ』など、深夜帯のハイクオリティアニメが目立つ。しかしアラサー世代にとっては懐かしい、90年代のNHK発アニメにもとんでもない名作が多かった。特に夕方帯に放送されるアニメは、20〜30年たった今でもその面白さが色あせることはない。
今回は「つい90年代に帰りたくなる」ような、NHKで夕方に放送された名作アニメを振り返りたい。
まずは子どもたちがこぞって見ていたバラエティ番組『天才てれびくん』内のアニメ。1995年から1997年にかけて放送された『アリス探偵局』と1998年から1999年に放送された『アリスSOS』は続けて「アリス」がモチーフだったことから記憶に残っているという人も多いだろう。
このほか、『バーチャル世界アニメシリーズ』(恐竜惑星・ジーンダイバー・救命戦士ナノセイバー)など、短尺ながら記憶に残る作品が多いのが『天てれ』アニメの特徴だ。
そして、NHKで爆発的な人気を集めたのが1998年から2000年まで放送されたCLAMP原作によるアニメ『カードキャプターさくら』。
小学4年生の木之本桜が、魔法のカード「クロウ・カード」を集めるためにカードキャプターとなってカードの起こした事件を解決しカードを集める物語だ。
主題歌もかなり豪華で、今でもカラオケのアニソンランキングで坂本真綾の『プラチナ』などは大人気。
同作は『なかよし』(講談社)にて連載されており、少女たちから絶大な人気を集めたのだが、大人の男性たちからも熱く支持された作品でもある。放送から20年以上が経過した今でもその人気は続いており、2018年には同じくNHKにて新作アニメ『カードキャプターさくら クリアカード編』が放送された。
なお2000年に入って以降、同じくCLAMP原作の『ツバサ・クロニクル』も2期(2005年、2006年)に渡ってNHKにてアニメが放送された。スターシステムにより登場キャラクターの声優は異なっているが、『CCさくら』を元にしたキャラクターも多く登場していたので嬉しかったというファンも多いのでは。
90年代のNHKアニメを語る上で欠かせないのは、ガイナックス制作の『ふしぎの海のナディア』だ。1990年から1991年に放送されたアニメで、SF小説『海底二万里』および『神秘の島』が原案で、総監督は庵野秀明氏、キャラクターデザインは貞本義行氏の『新世紀エヴァンゲリオン』のコンビが務めた。
『ナディア』は褐色肌のおてんばな主人公・ナディアと発明好きな少年・ジャンを中心とする冒険物語で、見ているだけでワクワクするのが魅力。それでいて大人も唸る重い展開もあり、作品としての完成度はかなり高い。
また同作は企画の一部がスタジオジブリの『天空の城ラピュタ』に転用されたため、謎の青い石や超古代文明の設定など、多くの類似点があるので、2作品を比べながら見るのも面白いかもしれない。
このほかにも90年代の、特に土曜夕方6時台アニメはアラサー世代がつい懐かしくなる名作にあふれている。『飛べ!イサミ』や『YAT安心!宇宙旅行』、『あずきちゃん』など、タイトルを見ただけで主題歌を口ずさめそうなものばかりだ。
あの頃はよかった……と過去にひたるばかりではよくないが、このラインナップを見たら、たまには童心に返りたくなるかも?