『ハウル』ソフィーの若返り、『トトロ』サツキとメイの影も… ジブリ作品で描かれた“不思議な描写”の理由とは?の画像
© 1988 Studio Ghibli
全ての写真を見る

 世界中で愛されるスタジオジブリ作品。公開されて長い年月が経っても色褪せない名作たちには、たびたび「なぜ?」と首を傾げてしまうような“不思議な描写”が登場している。

 今回はそんなスタジオジブリ作品に登場する“不思議な描写”について、公式サイトやインタビューなどで語られていた内容をもとに紐解いていこう。

■『ハウルの動く城』のソフィーはなぜ若返ったり歳をとったりするのか?

 2004年公開の『ハウルの動く城』では、“荒地の魔女”に呪いをかけられた少女・ソフィーが90歳の老婆になってしまう。彼女は美しい妹・レティーと比べて見劣りしてしまう自分に、少なからず劣等感を持っていたようだ。しかしその後、魔法使い・ハウルと出会い恋に落ちたことで、ソフィーは少しずつ自信を取り戻していく。

 そんな同作では、ソフィーの容姿が若返ったり歳をとったりを繰り返す描写がある。ストーリー内ではこの理由が明らかにされていないため、不思議だと感じる視聴者は多かったようだ。

 実はこの描写については、宮崎監督自身が言及している。鈴木敏夫プロデューサーに対し、「人間なんて気持ち次第で同じ人が90歳のおばあちゃんになったり、ある時は50代のおばちゃんになったりする」「ソフィーも気分によっては少女になるってあるんじゃない?」と語っていたのだ。(2018年8月10日「金曜ロードショー」の公式ツイッターの投稿より)

 確かにソフィーの見た目の変化には、彼女自身の精神状態が大きく影響しているとされ、ソフィーが眠っていたり素直な感情のときは若返り、反対に彼女が自信をなくし卑屈になると老婆になるというのを繰り返しているように見える。

 監督は、“気持ち次第で年齢なんて変わる”ということを絵に表現した結果がこのような描写になった、とインタビューでも語っており、宮崎監督らしい豊かな表現が見てとれる演出となっていた。

■『となりのトトロ』のサツキとメイはなぜ物語の後半に影がないのか?

 スタジオジブリの映画のなかでも、年齢を問わず愛される名作『となりのトトロ』。実はこの作品には「物語の後半にサツキとメイの影がないから、2人はすでに亡くなっている」「トトロは死神だ」など、まことしやかに囁かれる都市伝説がある。

 このことについてスタジオジブリは2007年5月、公式ブログ「ジブリ日誌」にて、「トトロは死神なんですか?」という問い合わせが多いことに触れ、「みなさん、ご心配なく。トトロが死神だとか、メイちゃんは死んでるという事実や設定は、『となりのトトロ』には全くありませんよ」と明言。

最近はやりの都市伝説のひとつです。誰かが、面白がって言い出したことが、あっという間にネットを通じて広がってしまったみたいなんです」と指摘した。

 そして、サツキとメイの“影がない”という演出に関しては、「作画上で不要と判断して略しているだけなんです。 みなさん、噂を信じないで欲しいです。…とこの場を借りて、広報部より正式に申し上げたいと思います」と、作画の都合で描かれていないことも説明している。

  1. 1
  2. 2