『SLAM DUNK』最強高校の最高の解説役! 名もなき「山王大好きおじさん」たちの意外と的を射た観察眼の画像
『THE FIRST SLAM DUNK』(C)I.T.PLANNING,INC.(C)2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

 井上雄彦氏によるバスケットボール漫画の名作『SLAM DUNK』の魅力の一つに、対戦相手の個性的なキャラクターが挙げられるだろう。インターハイ予選、インターハイ予選決勝リーグ、全国大会と、色とりどりな特徴をもった強豪校と対戦し、集大成として戦うことになったのが、秋田県代表の山王工業高校。

 体の成長に合わせさまざまなポジションを経験したことで高校バスケ最強のセンターとなった河田雅史。仙道までも中学のときに勝てなかった選手として実力を認める沢北栄治。驚異的な忍耐力を持つ一之倉聡。抜群の身体能力と判断力を持つ主将・深津一成。どの選手も間違いなく全国トップクラスの強者ぞろいで、全国大会3連覇中の強豪校として桜木花道たちの前に立ちはだかった。

 そんな山王には、やはりバスケットボールに詳しい常連ファンも多くいたのだろう。少年漫画では、試合中にどういったプレイが行われたかを試合の外から読者に分かりやすく説明してくれる「解説役」が登場することがあるが、『SLAM DUNK』では監督や観客がそれを担当することが多い。そして、山王戦では観客席にいた名もなき”褒めるおじさん”たちの活躍により、最強山王というチームをより深く知ることができた。そこで今回は、山王戦を彩った名もなき“山王大好きおじさん”たちの意外と的を射た観察眼について振り返りたい。

■30年山王を見てきたおじさんの山王褒め「今年の山王はいいぞ」

 まず、名もなきモブキャラたちの中でも、最も山王好きに違いない無精ひげを蓄えたおじさんの「オレは30年山王を見てるが 今年の山王はいいぞ」というセリフだ。30年間、山王を見てきたと自負するだけあって、今年の一味違う山王の強さに気づく観察眼も本物。

 というのも、試合前夜、山王の取材に訪れていた相田彦一の姉であり週刊バスケットボールの記者・弥生によると、今年の山王は「ここ10年の山王の中でも最高のチームという評判」があるとのこと。さらに、弥生個人としては「過去最強の山王工業かも」と感想を漏らすほどだ。

 そんなプロの弥生をゆうに超える「30年」というおじさんの歴史の重みにより、さらに山王のすごさが伝わってくる。また決して熱くならず、いたって冷静に語っている点も良い。頬杖をつきボソッと自分自身に説明しているようで、山王にとっての歴史的な大会を生で見届けたいというファンならではの思いが伝わってくるようだ。

 このおじさんが、どの段階で「今年の山王は最強」と判断したのかは分からないが、もし試合前のアップだけでその実力を見抜いたのなら、相当な観察眼と山王への愛をもち合わせているといえるだろう。

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