『SLAM DUNK』葛藤を乗り越えて…チームのために男たちがたどり着いた“新境地”4選 赤木や魚住、桜木の姿も の画像
『SLAM DUNK』Blu-ray Collection VOL.3(TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D))

 作品を面白くする要素の一つに、登場人物の心理描写や人間的成長がある。とりわけ彼らが葛藤を乗り越えて成長する姿は、その心に寄り添ってきた読者や視聴者にとって大きな喜びや希望となるだろう。

 現在、井上雄彦氏の映画『THE FIRST SLAM DUNK』が空前の大ヒットとなっているが、やはり数々の葛藤が描かれている。今回は原作『SLAM DUNK』から、彼らの葛藤と、それを乗り越えてたどり着いた「新境地」を紹介したい。

■赤木剛憲・魚住純がたどり着いた“大黒柱”のあり方

 センターのポジションはチームの“大黒柱”とも呼ばれる。作中でも有名なセンターは多いが、なかでも湘北高校の赤木剛憲と陵南高校の魚住純は、ともに葛藤や成長がしっかりと描かれた二人だろう。

 最初に苦しんだのは魚住だった。体力も技術もなく「ただデカいだけ」と陰口を叩かれながらも、努力の末に注目されるようになったのが1年生のころ。しかしその後、よりにもよって自分より身長の低い赤木のほうが評価されるようになる。

 打倒・赤木を目指してさらなる努力を重ねた魚住だったが、赤木にはゴール下の天性の得点感覚があるが、自分にはそれがないという“才能という壁”にぶち当たった。

 そして魚住が下した決断は、打倒・赤木ではなくチームの勝利のために体を張ることだった。地区大会での湘北戦「オレはチームの主役じゃなくていい」という言葉が、彼の決意を物語っている。

 似たような葛藤を、のちに赤木も抱くことになる。山王工業高校との試合で河田雅史にまったく歯が立たない赤木は、“自分が河田に勝てなければ湘北は負ける”という気負いから調子を乱した。その窮地を救ったのが、ほかならぬライバル魚住だ。わざわざコートまで乗り込んで、“赤木以外にも主役はいる”と暗に伝えた。

 結果、やはり赤木も過去の魚住と同じ決断を下す。自分が河田に負けたとしても、チームメイトの才能を発揮させれば湘北は負けない。「そのために体を張れるのはオレしかいない」と。同じ境地に立った魚住だからこそ、あのシーンで赤木を引き上げることができたのだろう。

■チームの勝利と先輩の夢のために動いた桜木花道

 神奈川の王者・海南大附属高校との試合では、主人公・桜木花道がチームの一員として一皮むける場面も見られた。

 試合前、“1年生のときからずっと、海南とインターハイ出場をかけて戦う場面を思い描いていた”と話した赤木。その並々ならぬ思いが伝わったのだろう。桜木は試合中にも何度かそのときの赤木の様子を思い浮かべている。

 しかしその後、赤木はケガで一時戦線を離脱する。「骨が折れてもいい…」「歩けなくなってもいい…!!」「やっと つかんだチャンスなんだ…!!」と悔しさをにじませる彼の姿を見たとき、おそらく桜木のなかである種の決意が定まったのだろう。赤木がコートに戻るまで「ゴール下のキングコング・弟」として必死にその穴を埋めようとし、「オレに今できることをやるよ‼」「やってやる‼」と宣言する。

 これまで自分が目立つことと流川に勝つことばかり考えていた桜木が、チームのため、赤木の夢をつなげるためにバスケに打ち込んだ。本当に”バスケットマン・桜木”が誕生したのは、このときだったのかもしれないとも思う。

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