■どこまでハイスペックなの…!?「タケコプター」なしで空が飛べた
本作に登場する空を飛べる“ひみつ道具”と言えば、やはり「タケコプター」が有名だろう。どこでもさっと取り出し、ドラえもんやのび太をはじめ、多くのキャラが使用していることでも知られている。
しかし、『藤子・F・不二雄 大全集』第1巻の「やきゅうそうどう」というエピソード内で、ドラえもんはのび太を背中に乗せ、なんとスーパーマンのように空を飛んでいた。ちなみに、のび太の子孫であるセワシを背中に乗せて飛んだこともあったらしい。
この描写を見たファンからは、“タケコプターを描き忘れたのではないか”と言う声も挙がっていたが、真実は明らかにされていないようだ。
現在は「タケコプター」で移動するのが主流の本作。このエピソードのようにのび太を背中に乗せて飛んでいるドラえもんの姿は今はもう見ることができないため、とても貴重なシーンだろう。
初期の『ドラえもん』で見られたさまざまなハイスペック機能。「透明化」のように藤子氏の意向によって設定が変更されたものもあるが、人知れず忘れ去られていったハイスペック機能もあるようだ。
時代の風潮に合わせて柔軟に対応してきている本作。たとえば、ドラえもんの動力が“原子力”であるという設定は、東日本大震災を受けて削除されたという。
このような細やかな気遣いや配慮なども、本作が多くの人に愛されているゆえんではないだろうか。そして、ハイスペックな機能を残したままサクサクと難題をクリアしていくドラえもんより、藤子氏の意向どおり“便利すぎない”ドラえもんが頑張っている姿が愛らしいと思うのは筆者だけではないはずだ。