22世紀からやって来たネコ型ロボットのドラえもんと主人公・のび太の日常が描かれた『ドラえもん』は、藤子・F・不二雄氏により1969年に小学館の雑誌で連載が始まった。
ドラえもんといえば、四次元ポケットから取り出す“ひみつ道具”を駆使して主人公・のび太を助けるのがお決まりの流れだが、実は、そんなドラえもん自身にも驚きの機能がたくさん隠されていた。
現在ではなくなってしまった機能も多いのだが、連載初期には驚きの機能が満載だったドラえもん。今回はそんな連載初期に見られた、ドラえもんのハイスペックぶりを紹介していこう。
■引っ張ると透明化!? 途中でなくなった“しっぽの機能”
ドラえもんをはじめとした登場人物たちの秘密がわかる『ドラえもん大事典』(小学館)には、彼のしっぽは「スイッチになってる。引っぱると、あらゆる機能が停止する」と書かれている。しかし実は、初期設定ではまったく違う機能が搭載されていたのをご存じだろうか?
その驚きの機能が、なんと「引っぱると透明化する」というもの。実際にコミックス第3巻「ああ、好き、好き、好き!」のエピソードでは、のび太にしっぽを引っぱってもらい、まさに透明になるドラえもんが描かれている。
しかし、このハイスペックな機能は残念ながら現在はないようだ。作者の藤子氏は、ドラえもんの透明化する機能を“なかったことにした”と『映画 2112年 ドラえもん誕生』のなかで明かしている。その理由について、「主人公がピンチになるたびにしっぽを引っぱって消えるんじゃ面白くも何ともない」と語っていたようだ。
“便利すぎるから”という理由で設定変更された、このドラえもんのハイスペック機能。透明化機能がついたままのドラえもんだったら、今とは違うエピソードが見られたかもしれない……!?
■「タイムマシン」は必要ない…!? 生身の体で超空間を移動
ドラえもんといえば、未来や過去を行き来できる“ひみつ道具”「タイムマシン」が有名だろう。しかし『藤子・F・不二雄大全集』第1巻の「愛妻ジャイ子!?」のエピソードでは、その身1つで超空間を移動するドラえもんの姿が描かれていた。
通常ならば「タイムマシン」が停められているのび太の机の引き出しのなかへピョンと入ったドラえもんは、そのまま超空間を漂って未来へたどり着いている。
ちなみに、“ひみつ道具”の「タイムベルト」を使用すれば超空間を行き来することは可能だが、このときのドラえもんは「タイムベルト」を着用していない。つまり初期のころは、生身の体で超空間を泳いで行き来できるという設定だったらしいのだ。
令和の今、ドラえもんが過去や未来に行くときには必ずといっていいほど「タイムマシン」が使われているが、上記に挙げた「透明化」のように“便利すぎた”から仕様変更されたのではないか?と思う。