ファミコンソフトの「ドラゴンボールZ 強襲! サイヤ人』(バンダイ(現:バンダイナムコエンターテインメント))が1990年に発売されてから、今年で33周年を迎える。当時は画期的だったアニメーションを取り入れたカードバトルに白熱したものだ。アクションゲームではなくRPGだったので、Z戦士たちがレベルアップして成長するという要素が楽しかったな。
『ドラゴンボール』は言わずと知れた名作なのだが、アニメではサイヤ人編から「Z」がつき、新シリーズの幕開けとなった。そこで今回は、アニメ『ドラゴンボールZ』の幕開けがなぜあんなに面白かったのかを振り返ってみたい。
■あのわんぱく小僧だった悟空が悟飯を連れて登場!
原作を知らない人からすれば、『ドラゴンボールZ』の幕開けに登場した主人公・孫悟空の息子・悟飯に度肝を抜かれたファンも多いだろう。大型の動物に襲われそうになったシーンでは、少しだけ潜在能力を解放するところも見られた(死んだフリもしていたな……)。
そして、お馴染みの“筋斗雲”に乗ってカメハウスに登場したシーンでは、4歳ながら礼儀正しい悟飯の振る舞いにほっこりしたものだ。それにしても……いやはや、あのわんぱく小僧だった悟空がとうとう父親である。
その前の天下一武道会で悟空はチチと結婚することになったので、もちろん子どもができていてもおかしくはないのだが……いやいや、それでもあの悟空だぞ!?
マジュニア(ピッコロ)と戦った天下一武道会では身長も伸びて成長したとはいえ、その直前まではまだまだ小さな姿で元気よく活躍していたものだから、なおさら驚いたものだ。
当時のジャンプではまだナッパやベジータたちと戦うサイヤ人編の佳境ともいえるときだったから、原作ファンもこの悟飯が今後どのような存在になるのか注目していたものだったな。
■まさかの強敵! レベルが違い過ぎるラディッツ襲来とスカウターのカッコよさ
『ドラゴンボールZ』では、序盤からカプセルに乗ってラディッツが登場する。原作同様、お決まりの(!?)「戦闘力…たったの5か…ゴミめ…」と、冷たく言い放つ姿も見られた。
このラディッツはいきなり地球人を殺すとんでもない悪党なのだが、よくよく考えれば先に手を出した(銃を撃った)のは、あの戦闘力5のおじさんのほうだった。
それにしても、ラディッツ襲来は危機感たっぷりの演出だったな。ピッコロが焦り、悟空もずっと冷や汗をかいている。孫親子3役を担当する野沢雅子の緊張感たっぷりの声にも、ラディッツの驚異的なパワーが感じられたものだ。
なにより「サイヤ人」という言葉が新しく出てきたのも、『ドラゴンボールZ』から。これはこの作品を語るうえで欠かせないキーワードとなっていくのだが、ラディッツが“悟空の兄だった”という設定も斬新で、堂々たる立ち振る舞いからも圧倒的な力を感じさせた。
これは声優・千葉繁の本領発揮といえるものであり、とてもピラフ大王と同じ人とは思えなかった……。
そして、ラディッツが身に付けていた「スカウター」もここで初登場。当時、欲しかった少年たちも多かっただろう。相手の戦闘力が分かるという優れもので、すぐに「俺のほうが強い」と自慢し合う筆者の中学時代のクラスメイトたちに付けて欲しかったものだ……。