■数々の技が描かれた『アストロ球団』
原作・遠崎史朗氏、作画・中島徳博氏による『アストロ球団』は、野球にも関わらず相手選手を死に追いやったり、廃人にまでしてしまうという、とんでもないプレーが描かれた漫画のひとつ。そのため普通では考えられないような必殺技がいくつも登場してきた。
その中のひとつに「殺人L字投法」という、名前からしてすでに恐ろしすぎる必殺球がある。これはスローボールにものすごい回転をかけることで、ボールがバットを伝わって打者の腕を這い上がり、そのまま頭部を直撃する魔球。この時点で相手を殺すことが前提になっているが、実際にこの球を受けたバッターはバックネットまで吹き飛ばされて死んでしまった。
『アストロ球団』には、この「殺人L字投法」の他にもかなり危険な必殺技がある。たとえば「ビーンボール魔球」と呼ばれる必殺技は、相手がどんなに逃げても追いかけて首元を切り裂くという魔球。また「ジャコビニ流星打法」は、細かいヒビを入れたバットを構えて打席に入り、球を打った瞬間にバットが砕け散ることで破片にボールを紛れ込ませるというものだ。
どれもとんでもない必殺技ばかりで、投げる側も打つ側も命を削りながら技の応酬を繰り広げる。これはまさに野球という名の殺し合いといったほうが良いだろう。
以上、今回は筆者がセレクトした3作品を振り返ったが、スポーツ漫画ファンそれぞれに好きな必殺技があるのではないだろうか。最近のスポーツ漫画ではリアル志向のものが増え、かつてのようなトンデモな設定のものが少なくなってきたが、少年漫画ならではのこうした「技」が繰り広げられる漫画もまたいつまでも楽しんでいきたい。