■闇のゲームが結果的には世界的人気カードゲームに

 バトルはバトルでもその方向性が変わったのは、高橋和希氏の『』だ。当初は千年パズルを解いた武藤遊戯が自身の中に別人格を宿し、悪人に「闇のゲーム」を執行しては相手に罰ゲームを与えていくというダークな要素のあるストーリーだった。

 しかし、読者にも好評だった架空のトレーディングカードゲーム「マジック&ウィザーズ」が物語に再登場したことで、以降はこのカードゲームを使ったバトルがメインとなる。

 1999年に発売された『遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム』は、今も世界的な人気を誇っている人気コンテンツ。2009年には「世界一販売枚数の多いトレーディング・カードゲーム」としてギネス認定もされ、さらに2011年には2度目のギネス記録として自社の世界記録を更新している。『遊☆戯☆王』に関しては、まさしく方向転換が功を奏したパターンだろう。

 このほか、ゆでたまご氏の『キン肉マン』も、はじめはプロレス路線ではなかった。序盤は落ちこぼれのヒーローのキン肉マンが怪獣を退治していくという物語で、超人オリンピックが始まったのは28話からだ。「キン肉マン=プロレス」のイメージは根強いため、特に若い世代では知らなかった人も多いのではないだろうか。

 

 物語の大胆な転換が成功につながった漫画は多い。今あらためて1巻を読み返してみると、そのテンションのあまりの違いに驚くこともありそうだ。

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