『機動戦士ガンダム』をはじめシリーズ作品では何度も登場する「コロニー落とし」や、『機動戦士Vガンダム』の宇宙要塞「カイラスギリー」など、『ガンダム』シリーズには大量破壊や敵の殲滅を目的とした兵器が数多く存在する。その中にはMS(モビルスーツ)に搭載されているタイプのものもあり、その威力のみならず、高い機動性による取り回しの面も考慮すると、通常では考えられないほどのすさまじい性能となっている。
今回は、そんなMS搭載の大量破壊兵器から、特筆すべき性能を誇るものを3つピックアップしてみた。これらの兵器は、それぞれに特徴的なビジュアルや性能を持っていることもあって、多くのロボットアニメ作品がクロスオーバーする人気ゲームシリーズ『スーパーロボット大戦』(通称スパロボ)でもフィーチャーされ活躍する機会が多い。そこで、それぞれの『スパロボ』シリーズでの使い勝手や性能まで含めて考察してみたい。
■『機動戦士Vガンダム』V2ガンダムの「光の翼」
「光の翼」は『機動戦士Vガンダム』で主人公ウッソ・エヴィンが搭乗するMS「V2ガンダム」が使用する。その威力は対艦用大型ビーム・サーベルにも匹敵し、片翼につき約1キロメートルという長大な有効範囲を持っている。
光の翼は強力だが、実は正式な武装ではない。推進力に変換できなかった過剰エネルギーが外へ放出される現象を利用したものなので、本来的には大量のエネルギーを無駄に消費する大きな欠陥だとも言える。
しかし、パイロットのウッソはそれを逆に利用することによって、光の翼を強力な武装として使うことができた。新型の推進システムであるミノフスキー・ドライブによる機動性を持ち戦場を縦横無尽に駆けめぐるV2ガンダムが、その上1キロメートルもの大型ビームサーベル2本を常時剥き身で持っていると考えると、その威力は想像を絶するものがある。
また、光の翼は他の武装を邪魔することはほぼないので、本来の動きをしながら使用できるというのも大きな強みだ。
『スパロボ』シリーズでのV2ガンダムは、多くの場合で通常兵器の威力がトップクラスとなっている。光の翼は全体マップ上で広範囲を攻撃できるMAP兵器版でより強力な効果を発揮する。
『スパロボ』シリーズにV2ガンダムが初登場したのは『第2次スーパーロボット大戦G』(1995年/ゲームボーイ用)で、MAP兵器である光の翼は、自機が移動したマスの左右のマスに攻撃するという独特の攻撃範囲となっている。ブースターなどの強化パーツや、加速などの精神コマンドで射程を伸ばすことも可能だ。
■『機動新世紀ガンダムX』サテライトキャノン
「サテライトキャノン」は『機動新世紀ガンダムX』に登場するMSガンダムXが装備する武装で、その威力はスペースコロニーを一撃で破壊できるほどのもの。サテライトキャノン単体でも威力や攻撃規模は圧倒的だが、その真価は無人のモビルスーツである「Gビット」との組み合わせによって発揮される。
Gビットは、一体一体がガンダムXと同等の兵装を有していて、サテライトキャノンも装備されている。無人のビットモビルスーツでファンネルと同じ感覚で動かせるため、オールレンジ攻撃も可能で、作中では13機のGビットが同時にサテライトキャノンを撃つという使い方もされていた。
Gビットは直線的な軌道しか見せなかったが、ガンダムXはサテライトキャノンを発射してから体の向きを変えるということをやっている。
つまり、サテライトキャノンを、薙ぎ払うように横にも展開できるのだ。Gビットで薙ぎ払いサテライトキャノンを行った場合、威力と射程は凄まじいものになるだろう。
『スパロボ』シリーズでのサテライトキャノンの扱いは、作品ごとに差異があるものの、最もインパクトが大きかったのは初登場作品でもある『スーパーロボット大戦α外伝』(2001年/プレイステーション用)だろう。幅3マスの射程無限攻撃が可能なMAP兵器だが、月が出ているMAP限定でしか使えず、ターン制のチャージタイムなど制限も多く、多大なメリットのためにはデメリットも甘受しなくてはならない、ある意味ではロマンのある性能となっていた。