■言い訳をさせない…“アーガマのお姉さん”「エマ・シーン」の厳しいお叱り

 最後は、『機動戦士Zガンダム』第9話「新しい絆」よりエマ・シーンの言葉を紹介したい。 ミーティングに遅刻したカミーユ・ビダンは悪びれることもしなかったため、ウォン・リーから暴力によって軍隊の厳しさを教えられる。

 その後、頑なに出動命令を拒否するカミーユに対し、エマは「今日まで生きてこられたのは、あなた1人の力ではないのよ」と諭すも、カミーユは「僕の力があったからアーガマはここまで来られたんでしょ」と言いのける。

 それでも「その自惚れが、今にあなたの命を落とすって分かっているから、ウォンさんはあなたを殴ったのよ」「あなたのような見込みのある人に生き残って欲しいと考えて……」と、淡々と伝え続けるエマ。

 しかし、カミーユは「僕は見込みありません。自閉症の子供なんだ」と卑屈に返す。その態度にエマは「自分の都合で大人と子供を使い分けないで!」と厳しく叱咤するのだった。

 考えてみると、筆者は常々「大人だから」を言い訳にしている節がある気がする。言い訳をせず、物事を前向きに捉えることを諭すエマの言葉は、大人にも子どもにも響く言葉ではないだろうか。

 

 ガンダム作品のキャラクターは、戦争という極限状態のなかに身を置いている。命にかかわるからこそ、子ども相手でもときには厳しい言葉をかけるのだ。

 そんな言葉だからこそ、重みがあり、私たちの心に響くのだろう。数多あるガンダム作品を見返す際は、自身の状況や心情に刺さる名言が見つかるはずだ。

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