■今までずっとそばにいてくれたのに…
最後は大人ファンがつい現実の人生のうまくいかなさを痛感してしまう、ちょっと変わったトラウマシーン。
2018年度の『HUGっと! プリキュア』の最終話では、主人公の野乃はなが大人になった未来が描かれる。
はなが25歳になった2030年を描いたエピローグでは、彼女は「アカルイアス社」の社長となっていた。妊娠中ながらも人に囲まれて仕事をバリバリこなし、なんとその後にはプリキュア史上初となる出産シーンも描かれた。
この何もかもがうまく行っている彼女の様子に、自分自身の現実の生活と照らし合わせてショックを受けた大人ファンが多かったようだ。
『HUGっと! プリキュア』は主人公のキュアエールが、チアリーダーのように自分や周りのみんなを「フレフレ」と応援するのが特徴で、そんな彼女の様子に、アニメの中のキャラだけでなく多くの視聴者も元気づけられてきた。それが、最終話で若干25歳にして何もかもが順風満帆に全てを手に入れたような彼女の姿を見て、ファンは一気に遠い存在に感じてしまったようなのだ。
応援していたインディーズバンドがメジャーデビューして遠い存在になってしまったというような例よろしく、「自分は置いていかれた」と感じてしまった大人層は多かった。もちろん展開的にはハッピーエンドの何者でもないのだが、裏切られたような寂しい思いをした人にとっては間違いなく「トラウマ」だろう。
敵と戦うという使命がある以上、みんなに元気を与え続けるプリキュアたちの周囲には、過酷な出来事は、実は少なくない。中高生の彼女らが穏やかに過ごせるよう、願うばかりである。