1月8日、ABC・テレビ朝日系で毎週日曜朝に放送中のアニメ『プリキュア』の新シリーズの情報が発表となった。第20作となる新番組のタイトルは『ひろがるスカイ!プリキュア』。モチーフは果てしなく広がる「空」で、「ヒーロー」がテーマだという新作は、初の青色カラーの主人公・ソラ/キュアスカイを中心に描かれる。
またシリーズ放送20周年を記念して、2023年2月より『全プリキュア展 ~20th Anniversary Memories~』が東京・池袋で開催される(大阪・名古屋でも順次開催予定)。メモリアルイヤーとして、今年はプリキュアファンにとって大忙しの一年となりそうだ。
2004年より1作目『ふたりはプリキュア』が放送され、そこから主人公や世界観を入れ替え少女たちの夢と憧れになり続けて20年、今や登場したプリキュアの数は70人以上にものぼる。
キラキラした絵柄に強さとかわいらしさで女の子に夢を与えてきたプリキュアだが、よく見てみると、ときには大人でもびっくりする描写や、信じられないほど過酷な世界観がかいま見えることがある。
今回は、プリキュア史20年の中に登場した、大人でもビビってしまいそうな『プリキュア』のトラウマ描写を紹介したい。
■プリキュアで味方キャラが死ぬことはないと思っていた…
まずは、2010年度に放送された『ハートキャッチプリキュア!』より。主人公がそれまでのシリーズにありがちな元気キャラではなく、大人しく引っ込み思案な優等生タイプだったりと新しい試みが見られた同作は、人間の心情やコンプレックスにどう向き合うかがテーマとなった作品だ。
同作では物語当初より、主人公の花咲つぼみの夢の中に出てくる謎のプリキュア「キュアムーンライト」が登場する。物語が進んでいくうちにかつてムーンライトが1人で戦っていた際に、彼女の相棒の妖精・コロンが過去の戦いの中で命を落としてしまったことが明かされる。
パートナー妖精が命を落とすというショッキング描写は初めてのこと。しかも、コロンの体は敵の攻撃によって一瞬で全身が真っ黒に炭化し、ボロボロに崩れるという凄惨な描写だった。
ムーンライトの身に起きた悲劇はこれだけではない。実はこれまで戦っていた「ダークプリキュア」が実は自身の妹であり、さらに、コロンの仇である敵のサバーク博士は、失踪した自身の父親。高校生の女の子に降り注ぐには、かなり重すぎる運命ではないだろうか。
また、2007年度の『Yes! プリキュア5』全49話のほぼ真ん中に当たる23話にも、信じがたいトラウマな出来事が。それは、これまで力を合わせて戦ってきた5人が大喧嘩によってチーム崩壊の危機を迎えるというものだ。
あることが原因でビーズの飾りが崩れ、数日間の努力が水の泡となってしまったプリキュア5の面々。それをきっかけに少しずつ彼女らの友情に亀裂が走り始め、激しい言い合いになってしまう。中でも本当に友だちが少ない「うらら」に対して「りん」が言った「口を開けばのぞみのぞみって……。アンタ他に友だちいないの?」といった暴言はかなり辛辣だった。
そして、このあと敵の策略により主人公・夢原のぞみ以外の4人の仲間が内面世界で心理攻撃を受け、自身の心の闇にとらわれて絶望し、闇落ちしてしまう。
助けに行ったのぞみを前に、無表情の真っ白い「絶望の仮面」をつけたかつての仲間たちが、グルリと振り返る様子はホラー作品ばりの恐怖。ずっとともに戦ってきた仲間であり友だちであるプリキュアたちが争う様子は、トラウマ以外の何ものでもないだろう。