『SLAM DUNK』の名シーンへと繋がる“登場人物たちの言動”3選「センドーが狙ってくるぞ」「目つぶって投げれば」も伏線だった!?の画像
『THE FIRST SLAM DUNK』(C)I.T.PLANNING,INC.(C)2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

『 THE FIRST SLAM DUNK』の大ヒットにより、注目を集めている井上雄彦氏の『SLAM DUNKスラムダンク)』。老若男女誰が読んでも非常にわかりやすいストーリーの本作だが、実は物語のなかで“伏線”と思われるシーンがいくつか存在するのをご存じだろうか。

 そういったシーンでは、キャラクターの特徴が深掘りされたり、キャラクター同士の関係性を垣間見ることができたりと、より本作の奥深さを知ることができる。そこで今回は『SLAM DUNK』で伏線と思われる“繋がりがあるシーン”について紹介する。

■「戻れっ!!」「センドーが狙ってくるぞ!!」桜木の成長を表す名シーンに繋がった伏線

 最初に紹介するこのシーンは、作中においても主人公・桜木花道の成長を感じる名場面の一つではないだろうか。

 湘北バスケ部に入部した桜木にとってはじめての試合が、強豪・陵南高校との練習試合だった。残り数秒を残して逆転し、勝利を確信して喜びを爆発させた湘北メンバーだったが、残り時間わずか2秒で単身攻めてきた仙道に為す術なく再逆転を許し、1点差で負けてしまう。

 しかし、この敗北があったからこその名シーンとなったのが、インターハイへの切符をかけて再戦した決勝リーグでの試合だ。最終局面、湘北は木暮公延の3ポイントシュートや桜木のダンクシュートによって、残り数秒で4点差をつけることに成功。

 ここで桜木が発したのが「戻れっ!!」「センドーが狙ってくるぞ!!」というセリフだった。この言葉に湘北メンバーは全速力でディフェンスに戻り、4点差で勝利することができた。

 練習試合でのあの負け方があったからこそ、桜木のバスケットマンとしての成長ぶりが見られたシーンになったのだろう。

■2人の熱いライバル関係が生んだ伏線「オレはチームの主役じゃなくていい」

 次に紹介するのは、努力に努力を重ね3年間勝負してきた男たちの熱いライバル関係が生んだ名シーンだ。

 同じく全国の切符をかけた湘北対陵南戦。湘北の赤木剛憲と陵南の魚住純は、お互いをライバルと認め合いながらも、キャプテンでありチームの大黒柱として自分が相手に負けるわけにはいかないという気持ちで勝負に臨んでいた。

 しかし、この試合で絶体絶命のピンチに陥った魚住は湘北に勝つために、赤木のほうが自分よりも上であることを認め、「オレはチームの主役じゃなくていい」と周りを活かすプレイに専念したのだった。彼のこの切り替えにより、陵南は試合の流れを引き寄せることに成功した。

 そして、インターハイでの2回戦、王者・山王工業高校に挑むこととなった湘北。ここで赤木は“高校最強のセンター”として名高い河田雅史を前に、自分のプレイを完全に見失ってしまう。

 湘北の魂である赤木を立ち直らせるため、魚住は板前の格好で試合中のコートに現れた。そして、自身が湘北戦で達した境地を伝えたのだ。「お前は鰈だ」「泥にまみれろよ」と。この一言で、赤木は魚住と同様、味方を活かすために体を張るという自分のやるべきことに気づくことができた。

 ライバルながらも熱い友情関係がわかる名シーン。個人的には、その後試合残りわずかとなった際、魚住が赤木に向かって過去に自身が田岡監督に言われた言葉である「むかっていけ!!」「そのデカい体はそのためにあるんだっ!!」と叫ぶシーンにも、胸が熱くなってしまう。

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