桂正和×鳥山明、諫山創×皆川亮二も…巨匠たちが生み出す“新境地”! 意外な漫画家タッグが作り上げたコラボ作品3選の画像
ビッグコミックス『トリリオンゲーム』第1巻(小学館)

 漫画には作画と原作の担当が分かれている作品もあるが、なかには知る人ぞ知る、意外な組み合わせが実現した作品が存在する。有名漫画家、原作者がタッグを組むことで実現したコラボレーション作品について、いくつか紹介していこう。

■有名原作者と劇画家が手掛ける“1兆ドル”の物語…『トリリオンゲーム』稲垣理一郎×池上遼一

週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載された『アイシールド21』や『Dr.STONE』は、どちらもアニメ化された人気作品だが、これらの原作を手掛けたのが稲垣理一郎氏である。『アイシールド21』のヒット以降は漫画原作家に専念しているのだが、そんな稲垣氏がタッグを組んだのが、“劇画家”としても有名な漫画家・池上遼一氏だ。

 二人は2020年より『ビッグコミックスペリオール』(小学館)にて、“成り上がり”を題材とした一作『トリリオンゲーム』を連載している。技術力はあるが出世できないガクが、かつてカツアゲから自分を救ってくれた同級生・ハルとともに“1兆(トリリオン)ドル”を稼ぐという野望に向けて動き出していくスタートアップ物語だ。

 少年漫画の原作者と劇画作家……という異色タッグだが、本作では二人の高い親和性がいかんなく発揮されており、『アイシールド21』などの作品でも特徴的だった稲垣氏の“読みやすい構図”に、池上氏の圧倒的画力が見事に溶け込んでいる。

 製品開発や起業といった現実的な題材を主軸に据えながら、一方で“奇策”ともとれる営業、経営方法を繰り出し、“1兆”という野望にひた走っていく二人の姿がなんとも印象的だ。少年漫画原作者と劇画家の二人の手により、リアルとファンタジーが見事に融合された、エンタメ性抜群の一作である。

■色の違う二人が仕掛ける新たな“SF”の世界観…『JIYA ージヤー』桂正和×鳥山明

『週刊少年ジャンプ』(集英社)の“SF作品”といえば、1989年に桂正和氏によって連載された『電影少女』を思い浮かべる方も多いのではないだろうか。桂氏は『I"s』のような恋愛漫画も数多く手掛けているのだが、卓越した画力は女性の姿だけでなく、洗練されたSFデザインとも高い親和性を見せている。

 そんな彼とタッグを組んだのは、なんと漫画界の巨匠・鳥山明氏だった。鳥山氏が手掛けた『ドラゴンボール(DRAGON BALL)』は、いまや知らない人がいないほどの超人気作品である。

 そんな二人が手掛けたのは『週刊ヤングジャンプ』(集英社)にて短期連載された『JIYA ージヤー』だ。凶悪な吸血鬼が暴れる地球にやってきた銀河パトロール隊員・ジヤの活躍を描くSF作品で、鳥山氏が温めていた構想を、桂氏の作画によって見事に具現化した作品だと言われている。

 青年誌での連載ということでシリアスなシーンや下ネタなども多いのだが、桂正和のリアルなタッチがその設定や展開をうまく表現している。

 本作はのちに『カツラアキラ 桂正和×鳥山明共作短編集』なる一冊に掲載されているのだが、そこではタッグを組むことになった二人の対談も盛り込まれており、“SF”に対する大御所二人の思想の違いや、本作の作成秘話についても読むことができる。

 ともに“ジャンプ作家”として歩んだ二人の異なる“SF観”も垣間見ることができる、なんとも興味深い一作だ。

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