1983年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載が始まった『北斗の拳』(原作・武論尊氏、作画・原哲夫氏)は、伝説の暗殺拳・北斗神拳の伝承者であるケンシロウの生き様を描いた物語だ。
核戦争により荒廃した世界を旅しながら、懸命に生きる弱者を守るため拳を振るうケンシロウ。彼はやがて救世主として、人々から慕われるようになる。
一方で卑劣な敵キャラに対してはとにかく容赦がなく、「てめえらに今日を生きる資格はねぇ‼」「悪党に墓標はいらん‼」などのセリフからも察せられるとおり、どうやら“悪党に人権はない”というのがケンシロウの基本スタンスらしい……。
今回はケンシロウのそんなダークな側面に注目して、彼が悪党相手に行ってきた“ドS行動”をピックアップしてみた。
■悪党との約束は即刻反古! 命ごいも完全スルーのドSぶり
旅の途中、暴力組織のボスであるKINGから命を狙われることになったケンシロウ。決着をつけるべくKINGの支配する町に侵入したところ、組織の一員であるクラブが弱者をいたぶっている場面に遭遇する。
ケンシロウは鍵爪をつけたクラブを「カマキリ」と煽ったうえでボコボコにし、秘孔を突いて「あと一分でおまえの背骨は筋肉の張力に負け ふたつに折れる」と宣言。そして“死にたくなければKINGの正体と居場所を言え”と尋問する。
命惜しさに正直に答えるクラブだが、ケンシロウは聞くだけ聞いておいて助けようとする様子はない。それどころか“約束がちがう!”と叫ぶクラブの顔面を踏みつけると、「おまえが 一度でも約束を守ったことがあるのか」「一度でも命ごいをしている人間をたすけた事があるのか」と、もっともらしい理由を挙げて立ち去るのだった。
約束は無効、命ごいも完全スルー、死に際すら拝まないという、徹底したいたぶりようだ。
■とことん相手をいたぶる…言葉責めもお好き?
北斗神拳だけでなく、言葉を用いて相手をいたぶることもある。たとえばモヒカンの敵に初対面でいきなり「おいハゲヤロー」と声をかけ、顔に隈取をほどこした敵には「おいバケモノ!」「死ね くまどりやろう」といった具合だ。
なかでもケンシロウの“口撃”が冴えたのが、宿敵・シンの部下であるハートとの戦いだろう。厚い脂肪に覆われた巨体のハートは、出会い頭から死ぬまで終始体型いじりをされている。
まず、シンの居城で柱の陰に潜んでいたハートの気配を察知したケンシロウは、「ブタをかっているのか?」とシンに尋ねる。続いて、姿を現して「人をブタ扱いするとはいい度胸じゃないか!」と言うハートに、真正面から「やっぱりブタか…」「ブタはブタ小屋へ行け!」との暴言。さらにとどめを刺す際には「北斗神拳の前には」「おまえは ただの脂肪のかたまりにすぎん!死ね‼」と、ブタからの格下げときた。
本人に聞こえよがしにブタ扱いしたあと、あらためて直接ブタ扱いし、最終的にはただの脂肪扱いと、三段構えの言葉責めには恐れ入る……。