■競馬ブームの立役者『ベスト競馬・ダービースタリオン』

 1990年代に競馬ブームの立役者となったのが、1991年に発売された『ベスト競馬・ダービースタリオン』こと“ダビスタ”だろう。

 競走馬を育成できるという視点と、繁殖牝馬となって次の子どもたちに能力を生かせる血統背景はなんとも魅力的だった。折しもオグリキャップが活躍し競馬界の人気が社会現象にもなっていた当時、そのオグリやメジロマックイーン、トウカイテイオーといったスターホースと戦える設定には燃えた。(アグリキャップなど実名ではないのだが……コウカイテイオーは笑えた)。

 “ダビスタ”もスーファミで登場した『ダービースタリオンⅢ』のころには、社会現象となっていたな。筆者は“薗部氏が開発したゲーム”というだけで競馬も知らないのに購入したが、見事にハマった。いつの間にか競馬ファンとなり、今日に至っている。

■初のコマンド式選択はその後の王道へ『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』

 1987年に発売された『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』は、“ドラクエの生みの親”でもある堀井雄二氏がシナリオを手掛けている。パソコン版ではアドベンチャーゲームとして初の「コマンド選択式」を採用したことでも有名な本作。

 ファミコンとしては、先に同氏が手掛けた『ポートピア連続殺人事件』(エニックス(現在のスクウェア・エニックス))でもコマンド選択式が採用されており、その後の王道システムとなっている。

 東京から北海道へと舞台が移り、練りに練られたストーリーと複雑な人物像で全く飽きがこないゲームシステムだった。おそらく今でも遊べるストーリーではないだろうか。そしてBGMとグラフィックも素晴らしい。当時のファミコンなのにこのクオリティは脱帽ものだった。

 それにしても、あらためて堀井氏は凄い……。これだけのシナリオを考案できるなんて、ゲームでなくても作家としても一流すぎる。ポートピアとの違いで「連続」でなく「連鎖」としているのも“言い得て妙”だった。

 

 いかがだったろうか。開発者の素晴らしさはもちろんのこと、きっちりゲーム化して販売してくれた『アスキー』は、他社とは視点が少し違っているかもしれない。そういえば、初期作品には超シンプルなスポーツシューティング『ぺんぎんくんWARS』もあったな。

『アスキー』のファミコンゲーム、もう一度遊びたくなってくるぞ。

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