『ヒカルの碁』や『ちはやふる』も…世に与えた影響大! 実際に競技人口を増やした“不朽の名作漫画”3選の画像
BE・LOVEコミックス『ちはやふる』第22巻(講談社)

 競技をテーマにした漫画は、いつも見る者を熱くさせてくれる。なかには作品を通して競技を知り、プロを目指したという人もいるようだ。『キャプテン翼』が世界のトッププレイヤーたちに大きな影響を与えたのは有名な話だろう。

 約25年ぶりに新作映画が公開されて話題の『SLAM DUNK』など、一大ブームを巻き起こした不朽の名作も多い競技漫画だが、作中で取り上げられている競技の種類についてはマイナーなものから世界中で親しまれているものまでとさまざまだ。

 今回はそんな競技漫画のなかから、実際に競技人口を増やし、世に大きな影響を与えた作品を厳選して紹介していこう。

■小・中学生を中心に“囲碁ブーム”を巻き起こした『ヒカルの碁』

 1999年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された『ヒカルの碁』は、これまでマイナーな競技として愛好家らに親しまれていた「囲碁」を題材とし、本作を読んだ小・中学生を中心に“囲碁ブーム”を巻き起こした。

 本作を読んでプロ入りを目指した棋士もいるようで、日本棋院東京本院所属の関達也三段や、日本棋院中部総本部所属の伊田篤史九段が本作に影響されたことを明かしている。

 そもそも「囲碁」とは、2名のプレイヤーが碁盤の上に交互に碁石と呼ばれる白と黒の石を置いていき、最終的に自身の石で囲んだ領域の広さを競う競技だ。

 本作は、平凡な小学生・進藤ヒカルが祖父の家で古い碁盤を見つけたことから物語が始まる。その碁盤に宿っていたのが、平安時代の天才棋士・藤原佐為。ヒカルは佐為に取り憑かれ、彼の悲願である「神の一手を極める」という目的のため、囲碁の世界へ足を踏み入れていく。

 江戸時代に存在した棋士で、史上最強とも言われている棋聖・本因坊秀策にも取り憑いていたという佐為。彼の尽力もあってヒカルが囲碁の高みへと上り詰めていくサクセスストーリーには、ワクワクさせられた。

 佐為の力に頼らず、自身の力で勝利を目指したいとヒカルが奮闘する姿が描かれ、同年代の読者たちの共感を得た本作。マイナーだった囲碁という競技を、一大ブームを巻き起こすまで周知させ、現在も世界中で愛されている作品だ。

■「競技かるた」を周知させた大ヒット作『ちはやふる』

 2008年から『BE・LOVE』(講談社)で連載された『ちはやふる』。本作はテレビアニメのみに留まらず、広瀬すず野村周平新田真剣佑といった人気俳優を起用した実写映画化で大ヒットした作品としても知られている。

「競技かるた」を題材とした本作。もともと“かるた”自体は学校や家庭で触れる機会はあるものの、“競技かるた”の世界はなかなか知られていなかった。どちらかといえばマイナー競技だった“競技かるた”を、「カッコいいスポーツ」として周知させるきっかけになった作品とも言えるだろう。

 袴姿で熱い攻防を繰り広げるキャラクターたちの姿は、同年代の読者の心を鷲掴みにした。本作の影響もあってか、いまや競技かるたの競技人口は約100万人とも言われている。(参考:一般社団法人 全日本かるた協会)

 本作のタイトルをとった「ちはやふる小倉山杯」という大会まで開催されるようになり、本作のキャラクターを真似て袴姿で競技に臨む人が増加するなど、社会に与えた影響は大きいだろう。

 競技にかけるキャラクターたちの熱い姿が描かれている『ちはやふる』は、“熱血スポーツ漫画”とも評されているが、一方で少女漫画らしい恋愛や友情などの群像劇も描かれ、幅広い世代に愛されている。

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