2022年12月に上映開始となった、映画『THE FIRST SLAM DUNK』。原作漫画とは違って、宮城リョータを話の中心にしたストーリーが展開されている。
原作・脚本・監督を務める井上雄彦がスタッフとイメージを擦り合わせるために描き起こした絵や文章、読切『ピアス』が収録された特別本『THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE』も発売され、ここにきて宮城の新たな一面を見ることができ、ファンは歓喜しているだろう。
そこで今回は、さまざまな猛者とマッチアップすることで磨かれてきた宮城の名ディフェンスシーンを紹介していきたい。
■やられっぱなしは性に合わない…試合の流れを変えたブロック
最初に紹介するのは、インターハイ予選で戦った翔陽高校のエース・藤真健司とのマッチアップから。
強豪校翔陽の歴史上初となる1年生からレギュラーを勝ち取ってきた藤真は、キャプテンと監督を兼任している。普段は“シックスマン”として存在しているが、全国クラスの実力を持つ選手だ。
前半はベンチで指示を出していた藤真だが、後半になり湘北に逆転されてから選手としてコートに登場。交代するやいなや自らのシュートで得点を決め、桜木花道がリバウンドに成功した隙を見逃さず、すかさずボールを奪って宮城と1対1に持ち込む。
「パスはない!!」「オレの身長を計算に入れて!!」と、藤真が自らシュートしに来ることを読み切った宮城だったが、サウスポーで、なおかつ“ジャンプの最高点に達する前にボールを放る”という藤真の独特のシュートにタイミングを崩され、決められてしまう。
しかし、このままやられっぱなしではないのが宮城という男だ。三井寿の気迫溢れるディフェンスに怯んだ長谷川一志の隙をつき、ボールを奪ってチャンスを作り、三井のスリーポイントシュートまで繋げる。
また、その直後、湘北を引き離そうとスリーポイントシュートを打とうとする藤真を今度はきっちりブロック。速攻に持ち込み3点差まで追い上げ、勝利へと大きく貢献した。
ポイントガードとして観察眼に優れている宮城は、最初の藤真のシュートの際にタイミングを読んだのかもしれない。身長差なんてまったく感じさせないほど、秀逸なディフェンスだった。
■16cm差をものともしない…最後まで諦めない執念のディフェンス
神奈川県インターハイ予選の際、過去16年連続インターハイ出場を誇る海南大附属高校と対戦した湘北。この試合で宮城は、“神奈川No.1プレイヤー”と称されるポイントガード・牧紳一とのマッチアップをすることになる。
自ら切り込むこともでき、自分よりも長身な流川や桜木のダンクもブロックしてしまうほど高い身体能力を持った牧。さらに宮城とは身長が16cm差もあり、高さで不利な状況だった。
しかし、その状況でも懸命にディフェンスをし続けた宮城。前半、牧の攻撃を一身に受け、かつてないほど疲れを感じていた。作中、“前半の影の殊勲者は彼だった”とナレーションも入っているが、前半、牧がそこまで目立った活躍をしなかったのは、宮城のディフェンス力の賜物だったと言えるだろう。
湘北は海南相手に一歩も引かない試合ぶりを見せつけるも、残り1分を切った時点で点差は4点ビハインドと厳しい状況だった。
時間がないなか、三井は赤木と桜木のリバウンド勝負に賭けて強引なシュートを放つ。しかし、良いポジションを取れず、リバウンドは海南の高砂の手に渡ってしまい皆が海南の勝利を確信……でも、宮城は諦めていなかった。高砂の一瞬の隙をつき、下からボールをカット。結果、桜木のシュートへと繋がった。
最後まで諦めない宮城の執念のディフェンスから起こったワンプレイだ。