■試合の流れを読んでいるからこそできるパスカット

 最後に紹介するのは、インターハイ2回戦の山王工業高校戦から。

 試合が始まり先手を取ろうと宮城は試合を運ぼうとするも、開始早々、ディフェンスのスペシャリスト・一之倉聡にボールを奪われてしまう。

 山王の速攻プレイにそのまま先制点を許すと思われたが、宮城は持ち前のスピードで追いつきボールを奪い返す。そして、河田をあっさりと抜き去り、桜木のアリウープに繋がるパスを出し「奇襲」を成功させた。

 そんな宮城がマッチアップしたのは、山王キャプテンで全国制覇の経験者でもある深津一成。12cmの身長差から、山王の選手たちはミスマッチをついた攻撃を仕掛けてくるも、宮城は粘り強いディフェンスを行っていく。

 後半が始まった直後、山王が仕掛けたオールコートプレスで20点以上の差をつけられてチームが窮地に陥った際にも「そこまでの力の差はねえ!!」「絶対に もう一度ウチに流れがくる!!」「まだ追いつくチャンスはある!!」と冷静に判断。

 自らパスカットでボールを奪い、自身との葛藤や疲労からいつもの調子が出せない赤木や三井ら3年生に対して、「しっかりしろォ!!」「流れは自分たちでもってくるもんだろうがよ!!」と、激を飛ばすシーンもあった。

 このような宮城のパスカットシーンは作中たびたび見られるが、これは一気にディフェンスからオフェンスへと流れを変える必殺技のようなもの。試合の流れを読んでいるからこそできる宮城の大きな武器だと思う。

 

 宮城と言えば、ポイントガードとしてのスピードや、ゲームメイク力が注目されがちだが、こうして振り返ってみると優れた名ディフェンダーだということが分かる。

 藤真、牧、深津などのトッププレイヤーとのマッチアップを乗り越えるたび、大きな成長を遂げてきたのだろう。勝負にかける彼のひたむきなプレイは、いつも読者を熱くさせてくれる。

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