個性的な立ち振る舞いや言動で場を盛り上げてくれるギャグキャラクターたち。おちゃらけている場面が目立つ彼らだが、ときに思いがけない実力を発揮し「もしや“強キャラ”なのでは!?」と、読者や視聴者を唸らせることもある。
そこで今回は、ギャグキャラでありながら作中で思わぬ実力を発揮したキャラクターたちについて見ていこう。
※以下には、コミック『みどりのマキバオー』、『らんま1/2』、『チェンソーマン』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。
■ポテンシャルだけなら作中最強!? 『みどりのマキバオー』ベアナックル
1994年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて、つの丸氏により連載された競馬漫画『みどりのマキバオー』では、“白い奇跡”と呼ばれた小さな競走馬・ミドリマキバオーの成長劇と、彼の前に立ちはだかるライバルたちとの激戦が描かれた。
本作は個性豊かなキャラクターたちによるギャグシーンも見どころの一つだが、なかでもとくにアクの強いギャグキャラが競走馬・ベアナックルだ。性格は卑怯かつお調子者で、なにかと理由をつけて調教をさぼろうとする卑屈な一面も見せている。
走りっぷりも「猪突猛進」という言葉が似合う滅茶苦茶なもので、スタート直後に騎手を振り落とす、コーナーを曲がれず外ラチを蹴って軌道修正する、再び外ラチ蹴りを試みるも失敗して急所を痛打……などなど、典型的な“暴れ馬”としてレースをかき乱す。
いわゆる“ギャグキャラ”として描かれることが多いベアナックルだが、しかし、その一方で非常に高いポテンシャルを秘めている描写も随所に見受けられる。
ゲートに鼻をぶつけながらも3着まで追い上げる驚異の馬力を見せたり、大逃げで化け物じみたスタミナを見せつけたりと、マキバオーらに対し特殊な走法を使わず、己の持つポテンシャルのみで堂々と渡り合えている稀有な馬でもあるのだ。
その隠れた実力は、マキバオーのライバル・ツァビデルをして「日本最強馬かもしれねえな」と言わしめた。しかし同時に「知性に欠陥がありレースでは勝てない」とも言われており、なんとも両極端な特性を持った面白いキャラクターと言えるだろう。
■スケベジジイの正体は“無差別格闘流”の開祖!『らんま1/2』八宝斎
1987年に『週刊少年サンデー』(小学館)にて連載が始まった高橋留美子氏の『らんま1/2』は、水を被ると女になってしまう主人公・早乙女乱馬を主軸とした格闘ラブコメ作品である。
乱馬や彼の父・早乙女玄馬の師匠として登場するのが、作中屈指の実力者である格闘家・八宝斎だ。彼は実戦型格闘技「無差別格闘流」の開祖であり、流派の本家筋である「元祖無差別格闘流」の師範という肩書を持つ実力者である。
さまざまな経歴を持つ八宝斎だが、見た目は禿げ上がった頭を持つ二頭身の老人で、なにより最大の特徴は極度の“スケベ”であるということ。下着ドロやセクハラは日常茶飯事で、わがままかつ傍若無人な性格も災いし、ギャグのオチを担当することも多い。その悪行が原因となり、山の洞窟に封印されていたという過去を持つほど……。
そんな典型的なスケベキャラの八宝斎だが、格闘家としての実力は本物。ワイド版の6巻に記載されている5段階の能力設定表では、パワー、スピード、スタミナといったパラメーターがすべて最大値の5に設定されており、とくにテクニックにいたっては“8”という規格外の数字を叩き出している。
本気を出す場面は少ないが、「元祖無差別格闘流」の極意とされる“闘気”を自在に操ることができ、相手を金縛りにする、エネルギー弾を放つ、巨大化する……など、もはや格闘家としての枠を超越した能力を有している。
実はその強すぎる実力から、強敵が来訪する長編には決まって不在であるなど、普段のコミカルな立ち振る舞いからは想像できない高すぎる実力を隠し持ったキャラクターなのだ。