“創造は模倣から始まる”という言葉通り、あらゆる作品はまったくのゼロから生まれるわけではない。過去の名作からヒントを得たり、同時代の作品とお互いに影響を与え合ったりしながら、新しい魅力ある作品は作り出されていく。
それは作品そのものだけでなく、キャラが誕生するときでも同様だ。その際、先人が生み出した魅力あるキャラはもちろんだが、ときによっては実在の芸能人がモデルとされる場合もある。そこで今回は、そんな“芸能人から影響を受けて生み出されたキャラ”を3名ピックアップして紹介していこう。
■ブルース・リーと松田優作をミックス…!『北斗の拳』ケンシロウ
原作:武論尊氏、作画:原哲夫氏による『北斗の拳』の主人公であるケンシロウのモデルについては、公式で何度も言及されている。とくに初期のころは香港人のアクションスターであるブルース・リーをベースに、パーソナリティ面では日本の伝説的俳優の松田優作を参考に作り上げたという。
たしかに作中でケンシロウが見せる、“軽く膝を曲げて立ち、左手を前に、右手を顎辺りに構えるポーズ”は、ブルース・リーが創始した武術「截拳道(ジークンドー)」の構えそのものだ。さらにヌンチャクや鉄パイプを使用して戦うシーンなど、ブルース・リーの映画『燃えよドラゴン』を参考にした描写も少なくない。また声優の神谷明も、ブルース・リーをもとにケンシロウのイメージを固めたのだとか。
また、コスチューム面でいえば、映画『マッドマックス』『マッドマックス2』でメル・ギブソンが演じたマックスや、映画『コブラ』でシルヴェスター・スタローンが演じたマリオン・コブレッティ刑事がモデルとなっているという。なお『マッドマックス2』は『北斗の拳』の世界観そのものにも影響を与えているそうで、両作を見比べてみるのも面白いかもしれない。
■昭和のスターがズラリ!『ONE PIECE』の海軍大将
尾田栄一郎氏の『ONE PIECE』にも、昭和のスターをモデルにしたキャラクターが登場する。頂上戦争までの海軍大将――“赤犬”ことサカズキ、“青雉”ことクザン、“黄猿”ことボルサリーノの3名だ。
彼らのモデルについてはコミックス57巻のSBS(おまけコーナー)にて、作者の尾田氏自身が言及済み。赤犬は菅原文太、青雉は松田優作、黄猿は田中邦衛だという。実際にモデルとなった俳優とキャラを並べてみるとビジュアルがそっくりで、登場時から「おや?」と気付いていた読者も少なくないのではないだろうか。
さらに青雉の口癖「あらら」はドラマ『探偵物語』で松田優作が演じた工藤俊作が由来となっていたり、赤犬が広島弁を話すのは映画『仁義なき戦い』で菅原文太が演じた広能昌三をもとにしていたりと、見た目以外の共通点も数多い。
また頂上戦争後に大将となった“藤虎”ことイッショウと“緑牛”ことアラマキについても、それぞれ勝新太郎と原田芳雄がモデルなのではないかと噂されている。この2名については作者による明言は未だされていないものの、設定やビジュアルを見る限り可能性は高そうだ。