■練り上げられた中国武術も”鬼”を前には無力…『グラップラー刃牙』劉海王
１９９１年より『週刊少年チャンピオン』（秋田書店）で連載されている人気格闘漫画『グラップラー刃牙』。その第２部『バキ』にて開催された中国の格闘大会「大擂台賽」に、強キャラでありながらあまりにも不遇な扱いを受けてしまった格闘士が登場する。
……それが、中国拳法家の劉海王だ。１００歳を超える高齢でありながらも、筋骨隆々とした体躯を誇り、主要キャラクターの一人である烈海王の出身・白林寺の総帥として君臨。作中でもたびたび、猛者としての片鱗を見せつけていた。
その活躍に期待が高まる一方で、トーナメント一回戦で彼の相手となったのは、主人公・刃牙の父親にして「地上最強の生物」と呼ばれる男・範馬勇次郎。劉海王は”強さ”について持論を述べながらも、まるで躊躇することなく勇次郎へと襲いかかる。
しかし、拳を避けられただけでなく、なんと顔面の皮を貫手で剝ぎ取られる……というあまりにも強烈なダメージを負ってしまう。このあまりにも惨たらしい決着を良しとせず、試合会場に弟子の烈海王が乱入。まさかの二回戦開始か？と思われたものの、劉海王はなんとか起き上がって烈を制し、勇次郎目掛けて奇襲じみた後ろ蹴りを放つ。
痛みに屈さず立ち上がりはしたが、この蹴りも勇次郎の服を破る程度の成果しかあげることはできない。最後は勇次郎の蹴りを顔面に叩き込まれ、成す術なく”勝負あり”となってしまった。
年齢を感じさせない巨躯から伝わる底知れない実力も、「地上最強の生物」によって、呆気なく退けられてしまった。実力うんぬんの前に、あまりにも不幸な巡り合わせがもったいないキャラクターである。
鍛え上げられた肉体、身に着け研ぎ澄まされた技、それらによって作り上げられた二つ名……一目で「猛者」と分かる強キャラの登場は、読者や視聴者からしてもその後の展開を期待してしまう。
一方で、そんな強キャラがあっさりと退場してしまう姿は対戦相手の強大さをより強く引き立て、大きなインパクトを与えてくれる。
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