実写化された『ジョジョの奇妙な冒険』の世界! 2017年映画版とドラマ 『岸辺露伴は動かない』の魅力の違いはどこか?の画像
ドラマ『岸辺露伴は動かない』(C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社 (C)2021 NHK / P.I.C.S.

 1987年に『週刊少年ジャンプ』で連載を開始した『ジョジョの奇妙な冒険』は、主人公や舞台を変えながらシリーズを重ね、昨年終了した第8部『ジョジョリオン』まで単行本の累計発行部数が1億2000万部を超える、漫画家・荒木飛呂彦氏の代表作だ。さらに、2023年2月からは第9部となる『The JOJOLands』(ザ・ジョジョランズ)の連載が開始されることも発表され、ますます注目を集めている。

 作品の長い歴史の中でメディアミックスも数多く行われており、アニメやゲームは言うに及ばず、実写での映画・ドラマ化もされている。この年末の12月26日・27日には、その最新作となる実写版ドラマシリーズ『岸辺露伴は動かない』の第3期エピソード、第7話「ホットサマー・マーサ」と第8話「ジャンケン小僧」がNHK総合で連夜放送。ジョジョファンにとっては見逃せない作品だ。

 原作があまりにも特徴的な作風のために実写化は難しいと思われてきた『ジョジョ』だが、2017年に公開された第4部の映画版と、スピンオフ作品である『岸辺露伴は動かない』を中心にドラマ化した先述のシリーズは、それぞれにチャレンジングな作風で実写化を実現している。そこで、各作品の見どころを比較しながら紹介していきたい。

■フルCGで再現されたスタンドが見応えあり! 映画版『ジョジョの奇妙な冒険』

 映画『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』は、三池崇史氏がメガホンを執り、2017年に公開された。サブタイトルからも分かる通り、杜王町(もりおうちょう)を舞台にした第4部を実写化したもので、主人公・東方仗助を山崎賢人が演じた。大きく分けて2つのエピソード、アンジェロこと片桐安十郎と虹村形兆、それぞれとの対決メインに据えたストーリーだ。

 主演の山崎賢人をはじめ人気俳優が起用され、アンジェロを山田孝之、空条承太郎を伊勢谷友介、虹村形兆を岡田将生、広瀬康一を神木隆之介がそれぞれ熱演。杜王町は荒木氏の出身地である宮城県・仙台市がモデルだが、映画では特異な世界観にキャラクターをなじませることを考慮して、スペインでロケが敢行されたことも注目された。

 物語は原作と同じくアンジェロ編からスタートするが、やはり大きな見どころとなるのはバトルシーン。『ジョジョ』シリーズの特徴的な描写である、作中で「スタンド」と呼ばれる精神のエネルギーが具現化した能力が、実写でどう再現されるのかは映画の公開前からファンの間でも話題となっていた。

 仗助と承太郎がアンジェロと戦うバトルシーンでは、アンジェロの使う「アクア・ネックレス」の水の動きをリアルに表現しており、仗助の「クレイジー・ダイヤモンド」や承太郎の「スタープラチナ」もかなり凛々しく力強いアクションを繰り広げる。

 そして形兆・億泰の虹村兄弟との出会いからのスタンドバトルも、億泰の「ザ・ハンド」や形兆の「バッド・カンパニー」の能力を完全再現して、現実の世界では不可能な『ジョジョ』ならではのブッ飛んだ戦いを見せる。作中で登場するスタンドはいずれも全てCGで再現されているが、そのクオリティは総じて申し分ない豪華な仕上がりと言っていいだろう。

 最後には、原作とは異なる含みを持たせた展開もあり、タイトルに「第一章」と付いていることからも続編がありそうな終わり方なのだが、結局現時点では制作されていないのがなんとも残念だ。

■ホラーテイストの演出とアツい演技で飽きさせないドラマ『岸辺露伴は動かない』

『岸辺露伴は動かない』は『ジョジョの奇妙な冒険』のスピンオフ作品で、本編第4部の登場人物のひとりである岸辺露伴を主人公とした短編集(既刊2巻)。漫画家である岸辺露伴が遭遇した奇妙な事件の数々を軸に展開するストーリーだ。この作品をNHKがドラマ化して、2020年と2021年の年末に3話ずつ放送し、ジョジョファンからも熱い支持を得ている。先述の通り今年の年末には第3期が放映される予定で、「背中の正面」に続き、本編エピソードとなる「ジャンケン小僧」が映像化される。

 このドラマでは「スタンド」という呼称は出ず、能力を日常に溶け込ませていることで、4部で扱われた「幽霊」や「街の噂」といったホラーチックなテーマがより強調されている。原作未読の視聴者に対する配慮と言えるが、一方で、細かいところまでチェックするジョジョファンにとっては、設定や演出が原作とは微妙に異なっていたりすることが新たな発見を楽しめるポイントとなっていて、その巧みさには思わずうならされる。

 さらに、俳優陣の演技の熱量の高さも人気の理由のひとつだろう。気難しくエキセントリックな露伴を演じる高橋一生が実にハマっていて、違和感がほとんどないどころか「これこそ露伴!」という実在感にあふれている。他にも毎回、事件の鍵となる人物として登場するのが実力派の有名俳優揃い。「今回は誰が出演してどういう演技をするのか」という期待感があり、それもまた新規エピソードの放送を待つモチベーションになっている。

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