『ひるなかの流星』『パラキス』も…まさかの大逆転!? 少女漫画でヒロインを射止めた“当て馬キャラの決死のアプローチ”3選の画像
Feelコミックス『Paradise Kiss』第1巻(祥伝社)

「当て馬」とは本来、“相手の反応などを探るためにあてがわれる存在”のことを指し、少女漫画においては“ヒロインの恋を盛り上げる役割”として登場することが多い。そのため、ヒロインとの恋が成就することはほとんどないのが現状だ。

 そんな“当て馬キャラ”たちだが、実は彼らのなかには大逆転を果たし、ヒロインを射止めた者もいる。そこで今回は、そんな当て馬キャラたちの決死のアプローチに注目して紹介していこう。

 

※以下には、コミック『ひるなかの流星』、『ピーチガール』、『Paradise Kiss』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。

 

■一途にヒロインを思い続けた『ひるなかの流星』

 当て馬キャラが大逆転をしたことで話題となったのが、2017年に実写映画化も果たしている、やまもり三香氏の『ひるなかの流星』(集英社)。

 田舎育ちで自由奔放なヒロイン・与謝野すずめは、東京で迷子になっていたところを獅子尾五月に助けられる。のちに判明するのだが、獅子尾はすずめの転入先の教師だった。

 なにかと気にかけてくれる獅子尾に好意を寄せていくすずめ。恋を知らない純粋な彼女は、全力で気持ちをぶつけていくも、彼は“教師”という立場から気持ちに応えることができずにいた。

 一方で、“当て馬キャラ”であるすずめのクラスメイト・馬村大輝は、無愛想な塩顔イケメン。しかし、実は女子に免疫がなく、触れられると赤面してしまう一面を持っていた。そんな彼の秘密を偶然知ってしまったすずめは、それをきっかけに馬村と親しくなっていく。

 すずめの気持ちは分かっているものの、次第に馬村は純粋無垢な彼女に惹かれていく。そして、獅子尾を思って涙するすずめを抱きしめ「お前 俺のことすきになればいいのに」と、熱烈にアプローチ。

 すずめもまたそんな馬村のことが気になるようになっていき、最終的に自分を好きだと言ってくれた獅子尾よりも彼を選ぶのだった。

 “教師と生徒”という禁断の恋愛を描いた本作。手が届かないと思っていた獅子尾が自分のほうを向いてくれるという願ってもない展開を迎えるのだが、すずめが選んだのは“当て馬”の馬村のほう。

 不器用ながらもずっとすずめの側にいて、彼女を思い続けていた馬村。彼の思いが通じた結末に沸いた読者も少なくないだろう。

■ヒロインを支え続けていたモテ男『ピーチガール』

 上田美和氏の『ピーチガール』(講談社)は、色黒がコンプレックスであるヒロイン・安達ももの恋愛模様を描いた作品。彼女は中学からの同級生である東寺ヶ森一矢こと“とーじ”に片想いしており、とーじもまたもものことを一途に思っていた。

 しかしももの友人・柏木沙絵こと“さえ”は2人の様子が気に食わず、彼らの恋路を邪魔してばかり。とーじはさえに弱みを握られてようやく実ったももとの恋を諦めるなど、終始、不憫な展開が続いていく。

 一方で、遊び人でモテ男の岡安浬(おかやす・かいり)こと“カイリ”は、軽い気持ちでももに近づくも、少しずつ彼女の魅力に惹かれ、本気で彼女を好きになっていく。

 物語序盤では、カイリがももへ好意を寄せる様子を見たとーじが嫉妬し、ももへ告白したことで2人が恋人同士になるなど、カイリはまさに“当て馬”としてあてがわれていた。

 しかし、カイリは大逆転を果たす。カイリは長い間片思いをしていた保健室の先生、安芸操(あき・みさお)とももとの間で揺れ動き、一度はももの元を離れてしまうのだが、彼女を忘れることができない。そして、とーじと復縁していたももを抱きしめ、とーじの前で「ももちゃん 返して」と決死のアプローチをするのだ。

 紆余曲折あったものの、最終的にももはカイリを選ぶことになる。思えばカイリはさえに苦しめられていたももに寄り添い、常に味方でいてくれたキャラクター。さえの嘘に惑わされてしまうとーじとは違い、真実を見極め守ってくれていたカイリの存在は、ももにとってはとても大きなものだったのだろう。

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