■野球は一人でやるもの! 新幹線並みに速く投げる「二階堂定春」
2メートル近い身長で球速200キロ近い剛速球を投げ込むのが、桑沢篤夫氏の『緑山高校』(集英社)に登場する「二階堂定春」だ。規格外の体格から放り込まれる速度は、新幹線並みともいえよう。
この二階堂はかなりのワンマンタイプだ。自分一人がいれば野球はできると考えており、目立ちたがりで常に他人を見下しているため、ほかの部員からの人望がない。先に挙げた孫六や久里は少なくともチームメイトから慕われているところもあるが、二階堂にはそれが見当たらない。
また、この体格だけにケンカも強く、打撃も基本的に9番だが桁外れなパワーでホームランを打っていたりも。ほかの主人公同様、野球においては規格外の強さを持つ人物だ。
ちなみに、二階堂のボールを唯一捕れる捕手の犬島雅美とはかなり折り合いが悪い。ここまで仲の悪いバッテリーは珍しいが、この犬島もチームメイトからの人望がまったくないのが面白かった。
■ナンパとケンカが何より大事! 最強バッテリー「バツ&テリー」
野球センスもあるのにナンパ好きでケンカしまくるのが、大島やすいち氏の『バツ&テリー』(講談社)に登場する「抜刀軍」(通称:バツ)だ。捕手の一文字輝(通称:テリー)とのコンビは、ケンカはもちろん、ノーヘルのままバイクで暴走しているのを警察に知られているのにもかかわらず、なぜか学校や高野連から処分を受けない。むしろ学校は野球部の活躍による知名度向上のために、彼らの暴挙を見逃そうとさえするのだ。
投手がリーゼントで捕手がアフロ(しかも左投げ!)というのも凄いが、ノーヘルバイクで暴走をする描写があるなんて、当時の「三ない運動(バイクの免許を取らない、バイクに乗らない、バイクを買わない)」に真っ向から闘っているようだ。
部活にも顔を出さずに自由度の高い日常を送っているバツ&テリーの二人だが、常にモテモテでファンも多いならそれも致し方ないものか。
今回紹介した主人公たちは全員投手としての才能に恵まれており、ケンカも強い(必要か?)。基本的に人気があるが、二階堂のように嫌われている人物もいる。
それにしても、自分が最強で自己中心的なチョイ悪(極悪!?)の性格の投手は、清く正しい主人公と対決するとどうなるのだろうか。ちょっと気になるところである。