■身長150センチに満たないシューターがゴールを量産していく『あひるの空』

 体格がモノをいうバスケットボールの世界で、149.22センチと小柄な少年がクイックシュートでゴールをもぎとっていく日向武史氏の『あひるの空』。

 主人公・車谷空は身長差のハンデをものともせず、持ち前のスリーポイントシュートと、身につけたクイックシュートでゴールを量産していく。

 作中では、元日本代表だった空の母親との別れのシーンが切なかった。病気で入院している母は、空と最期の会話を交わしたとき「大っきく産んであげられなくて ゴメンね」と言う。2ページの見開きを使っているこのシーン、涙なくては見られなかった……。

 そうなのだ。親になると本当にゴメンと思ってしまう。子どものためにできることをしてあげられなかったと……。ただ、小さいからこそ頑張れたという空。「母さんに ありがとうって言いたかったんだ…!!」というところは……ダメだ、また泣いてしまうではないか。

 そんな感動できるシーンもありながら、チームメイトたちとの友情なども見どころの本作。

 麿のような眉毛とアフロが特徴でお菓子ばっかり食べているのが、先輩の花園千秋だ。バスケセンスはあり、男らしいところもあるのだが、まったくモテないという不思議な魅力の絡みで笑ってしまう。また、そんな千秋の双子であり、バスケ部主将となる弟・百春は、高いジャンプ力でリバウンドで貢献するのだが、絶望的にシュートセンスがなかったりと、個性的なチームメイトたちが次々と登場するのも、この作品の面白いところだったな。

 

 面白かったバスケ漫画を取り上げてみた。そういえば、マガジン系の漫画ばかりだ。それだけ、マガジンがバスケ漫画に真摯に取り組んできたのだろう。

 まだ知らなかった人はもちろん、これらを読んでみたことがある人も、バスケの日に合わせて読み返してみてはいかがだろうか。

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