12月21日の本日は「バスケの日」だ。バスケットボールといえば、約25年の時を超えて新作映画『THE FIRST SLAM DUNK』が公開された、井上雄彦氏の『SLAM DUNK』が激アツだが、しかし『SLAM DUNK』以外にも、バスケットボールを題材とした面白い漫画は多くあるものだ。
そこでここでは、「バスケの日」におすすめしたい名作漫画を紹介していこう。
■平成元年から続く超ロングセラーの正統派バスケ漫画『DEAR BOYS』
まずは1989年から『月刊少年マガジン』で連載が始まった、八神ひろき氏の『DEAR BOYS』(講談社)だ。最強チームで高校2年から上級生を差し置いてキャプテンに指名された主人公・哀川和彦の転校後のストーリーから始まる。
令和の現代までシリーズが進んだ本作では、バスケットのシーンはもちろん、チーム内の友情、衝突や葛藤、そして恋愛……と、人間ドラマがシリーズを通して面白い。主要ライバルチームにもドラマがあって感情移入しやすいため、どっちのチームにも負けてほしくない!という気持ちになる。
哀川が入部したとき、瑞穂高校バスケ部は部員による暴力事件で休部状態だった。方向性を見失った4人の部員たちは、部室でタバコに麻雀をするなどとんでもない状況だったのだ。それでも、全国ナンバーワンプレーヤーで“天才”と呼ばれる哀川に魅入られ、どん底からどんどん這い上がっていくチームの急成長ぶりにはワクワクしたものだったな。
ちなみに、他校で筆者が好きなのは本牧東だ。エース保科率いるストリートバスケット中心のチャラチャラしたメンバーだったが、湘南大相模との初対決時はとくに痛快。
生意気な布施率いる年下1年生チームからバカにされながらもバスケを楽しみながらの大逆転劇は、ヒヤヒヤしながらも本当に楽しかった。そしてその後、本気で練習に取り組む姿勢にも心を打たれたな。
ただ、その布施たち湘南大相模もより一層真剣になってバスケに取り組み、4部では主役に抜擢されている。シリーズのファンには堪らない展開だった。
■90年代はストバスに憧れた人も多かった!『Harlem Beat』
バスケット漫画のなかでも、ストリートバスケット(通称『ストバス』)を中心に描かれたのが、西山優里子氏の『Harlem Beat』(講談社)だ。
バスケ初心者の主人公・成瀬徹を中心に、前半はストバスの王者「スリーメン」打倒に燃え、中盤以降は高校のバスケ部に所属してライバルチームとしのぎを削っていくという物語。
ストバスは3on3のため、競技バスケットボールとはルールも違い、少々荒っぽいプレーも当然出てくる。登場人物はスリーメンの中心シュウをはじめ、澤村正博など高校生とは思えない落ち着き払った人物が登場するのが魅力的だった。
とくに澤村は凄かった。バスケセンスはストリートと高校バスケの両方に通じ、さらに学業もトップクラスという秀才ぶり。それでいてツンツンしながらもイケメンなので、女子生徒に大人気と羨ましい。とはいえ、人を信用せずお金稼ぎに奔走し、成瀬の人懐っこい性格に呆れながらも、心身ともに徐々に成長していくのはほとんど主役と言っても良いキャラだった。
個人的には、澤村とケンカ腰になりやすかった小林純直が好きだったな。チーム思いだけど仏頂面で口下手。何も考えていない成瀬が勝手に勘違いしてあたふたするのも愉快だった。3年生で主将の桜井(実はシュウ)が引退したあと、チームをなんとかまとめようとしていくのだが、その際、澤村が地味に協力していくのが微笑ましかった。