■失った左腕について語る「“新しい時代”に懸けて来た…」

 本作第1話で、ルフィを助けた代わりに左腕を失ったシャンクス。シャンクスの腕がなくなってしまった現実を目の前で見た幼きルフィは号泣していたが、当の本人はルフィの命が無事だったことに「安いもんだ 腕の一本くらい…」と微笑んでいた。

 大海賊であったシャンクスが腕を無くしたとあって、世界は驚愕したのであろう。コミックス45巻第434話での一幕では、四皇として肩を並べていた白ひげが彼に片腕となった理由を聞くシーンがあった。

 単身で白ひげ海賊団の船に乗り込み、シャンクスは白ひげと2人で対話する機会を設ける。昔話に花が咲くなか、「どんな敵にくれてやったんだ…その左腕」と聞く白ひげ。シャンクスは左腕に手を当てながら「コレか」「……“新しい時代”に 懸けて来た…」と、幼い日のルフィを回想しながら語った。

 シャンクスにとってルフィは自分の腕を差し出してでも守りたい存在で、彼に“新しい時代”の可能性を見出していたからこそ、腕を落として命を助けたのだとこの一言から推測できる。

 彼は腕を落とした理由を詳しく語ろうとしなかったが、その様子を見た白ひげは「くいがねェなら結構だ」と、豪快に酒をあおるのだった。

 しかし、そんな穏やかなシーンのすぐあとで、2人は黒ひげティーチの所存をめぐって話が決裂。覇王色の覇気同士がぶつかり合い、天が割れるほどの豪快なシーンが描かれていた。大海賊同士の話し合いはスケールが突拍子もなく、すべてが名シーンに思えてくる。

 

 作中で大きな存在感を放つシャンクス。強さだけでなく、優しさや男気という面でも、ルフィにとって大きな目標であると言える。

 物語はいよいよ最終章に突入した。五老星との謁見をしていたり、世界政府も一目置く存在であるなど、相変わらず謎多き男・シャンクスだが、いずれ彼の素性が明かされ、ルフィとの再会が描かれる日も近いだろう。大海賊たちから、ますます目が離せない。

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