『ドラえもん』強制取り立てに、断れない賄賂…あまりに現実的すぎて“夢のない”ひみつ道具3選!政治家のようなジャイアンの姿も…!?の画像
てんとう虫コミックス『ドラえもん』第22巻(小学館)

 藤子・F・不二雄の代表作であり、世代を超えて楽しまれ続けている国民的漫画『ドラえもん』(小学館)。自由に空を飛べる「タケコプター」や好きな場所へすぐに行ける「どこでもドア」など、ドラえもんがのび太に出してくれるひみつ道具の多くは、どんな願いでも叶えられるような魅力に満ちている。

 子どもだけでなく大人から見ても夢にあふれたひみつ道具だが、その中には「え?こんな現実的なものもあるの?」というアイテムもいくつか存在する。今回は、ドラえもんが取り出したひみつ道具から、“効果が現実的すぎて夢がない!”と思えるものを3つピックアップしてみた。

■容赦は無用!収入があるだけ税金を徴収する「税金鳥」

 最初に紹介するのは、てんとう虫コミックス第22巻で登場した「税金鳥」。その名の通り、鳥をイメージしてデザインされたひみつ道具だが、名前からしてすでに不穏な空気を感じさせる。ご想像の通り、お金を持っている人から容赦なく税金を取り立てるという、社会人にとっては切実すぎて頭が痛くなりそうなひみつ道具だ。

 お金持ちのスネ夫と自分ではお小遣いの額が違ってやりくりが大変なのは不公平だ、と不満を募らせたのび太にドラえもんが出してくれたのが「税金鳥」。

 ジャイアンも賛同して半ばゴリ押しで始まった税金制度により、のび太自身も含めた同級生たちを対象に税金が徴収されることに。小学生が対象なら大したことはないかと思いきや、そんなことはない。なんと、「税金鳥」の徴収システムは累進課税制度であり、もらっているお小遣いの額が多いほど課税額も高くなるリアル仕様なのだ。千円未満の場合は1割、一万円未満の場合は3割、一万円以上の場合はなんと7割も税金を納めなくてはならない。

 そして中には10万円近く徴収されている子も……。出木杉が思わず漏らす「税金が高すぎるよ」というセリフからは、小学生らしからぬ悲哀が感じられる。

「税金鳥」だけでなく、『ドラえもん』に登場するお金関係のひみつ道具では、より世知辛さが強調されていることが多いのは興味深い。

■バッジをつければ何でも優先&免除!えこひいきされまくる「ひい木」

 どんなことでも優先されたり免除されたりする、免罪符的なひみつ道具が「ひい木」(てんとう虫コミックス第18巻で登場)。木を模したバッジで、身につけている人がえこひいきされるのだ。

 大人の前でだけ調子がよくてひいきされるスネ夫に対して怒ったのび太とジャイアンが「ひい木」を使って仕返しをする。スネ夫をキャッチボールに誘ったのび太は、わざと近所の家のガラスを割るが、怒られるのはスネ夫だけ。それどころか、スネ夫をかばってみせると「のび太くんはえらい」と褒められる始末。

 ジャイアンにいたっては、さらにやりたい放題で、街中のゴミ箱をひっくり返したり、幼い子をいじめたりしてスネ夫に罪をなすりつける。さらに、スネ夫の家に上がり込んでご飯を奪ってしまい、スネ夫のママも「スネ夫の分はなあんにもないざます!」と無慈悲なひと言を言い放つほどだ。

 何をしても怒られず褒められるため、使ってみたいひみつ道具だが、現実に存在するとコミュニティ内のバランスを崩しかねない危険な道具かもしれない。さすがにやり過ぎだということか、アニメでの登場エピソードでは、バッジを使っても必ずしも得をするとは限らないような描写になっている。

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