■心優しき熱血漢兄貴

 最後に紹介するのは『機動戦士ガンダムSEED』よりムウ・ラ・フラガだ。正規の軍人であるムウは第7話「宇宙(そら)の傷跡」において、民間人上がりの主人公キラ・ヤマト達が作戦に反対したところを「俺たちは生きてるんだ。てことは、生きなきゃなんねぇってことなんだよ」と説得した。上官であり、兄貴分らしい行動と言動だ。

 第30話「閃光の刻」において、戦争で人を殺すことに疑問を感じたキラに対し、周りのクルーは空気を読まずに彼を褒め称える。ムウはキラの思いを察知すると、キラを他のクルーから遠ざけ、彼の思いを聞き入れた。そして、その上で「俺たちは軍人だ。人殺しじゃない。戦争をしているんだ。撃たなければ撃たれる。俺も、お前も、みんな」と厳しい言葉をかけた。16歳のキラには厳しい言葉だが、戦場では迷いが人を殺してしまうという、キラを気遣った最大限のセリフだ。

 第49話「終末の光」でドミニオンより放たれたローエングリンから、母艦アークエンジェルを守るため、ムウは被弾したストライクガンダム単騎でアークエンジェルの盾となった。「やっぱ俺って、不可能を可能に、、、」と言葉を残し戦死したムウ。仲間や自身の恋人を守るために無茶をする姿は、兄貴分でムードメーカーのムウらしい最期と言える。『機動戦士ガンダムSEED  DESTINY』で生存していたことが明らかになるが、視聴者人気の高さがうかがえる設定だろう。

 ガンダム作品には様々な魅力が存在する。MSのかっこよさ、人間味のある登場人物たちの関係性、主人公や登場人物の成長など、あげればキリがない。特に戦争という状況下における、登場人物の生き様は、他のアニメ作品と比べても特に魅力が溢れている。現在放送中の『機動戦士ガンダム 水星の魔女』でも、そんな兄貴(姉御)肌のキャラクターが登場することを楽しみに視聴していきたい。

  1. 1
  2. 2