藤本タツキ氏の『チェンソーマン』は、『少年ジャンプ+』(集英社)にて第2部が連載中のダークファンタジー。10月11日からテレビアニメも放送されており、今まさに盛り上がりを見せている人気作品だ。
本作では、ひょんなことから悪魔に変身する力を手に入れた主人公・デンジが、悪魔を狩る“デビルハンター”として活躍する姿が描かれる。
※以下には、コミック『チェンソーマン』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。
デンジは“ヒーロー”の型にはまりきらない人物で、ぶっ飛んだ言動をとることが多い。周りの仲間たちが評するとおり“最高にネジがぶっ飛んでる”少年であり、作中では刺激的すぎるパワーワードをかましてくれることもしばしば。
悪魔を痛めつけ、その血を飲んで回復し、また痛めつけ……と繰り返しながら「永久機関が完成しちまったなアア~!!」と叫ぶ衝撃シーンをはじめとして、いろいろな意味で心に残る名言(迷言)が多い。
そんな最高にクレイジーなデンジだが、ときどき思わず「なるほど」と納得させられたり、「わかる」と共感したりしてしまうような発言もあり、そのたびはっとさせられる。
たとえば、原作漫画第4巻収録の第30話でデンジは、過酷な修行を続けるうち「こんな生活続いたらマジで楽しくねえぞ」「楽しくなるために頑張ってきたのに 楽しくなくて頑張るのは糞だ」とこぼす。
“強くなるためだけにどんな修行にも耐える”という少年漫画によく見られる「努力要素」とかけ離れた発言ではあるが、“楽しさのために頑張る”と思う気持ちは私たちにとっても身近なものだ。しかし実際は、楽しい生活を夢見て頑張っていたはずが、いつの間にかひたすら頑張るだけになっていた……という経験のある人も少なくないだろう。
だからこそ、どんな立場に置かれようと“楽しくなるため”の目的を見失わないデンジは、すがすがしいくらいにまっすぐで、ある意味カッコいいと思う。