『鬼滅の刃』竈門炭治郎『ヴィンランド・サガ』トルフィン『無限の住人』浅野凛「悲しき仇討ちに執念を燃やした」キャラ3選の画像
『鬼滅の刃』Blu-ray&DVD第1巻より (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 12月14日は「忠臣蔵の日」だ。今から320年前、1702年(元禄15年)の12月14日(旧暦)に赤穂浪士47人が本所の吉良邸に討ち入り、亡き主君の「仇討ち」を成し遂げたのが由来である。

 現在では歴史的観点から諸説あるものの、赤穂藩主であった浅野内匠頭長矩が江戸城松之大廊下で吉良上野介義央を斬りつけたことが発端。それにより浅野内匠頭は即日切腹、浅野家が治めていた赤穂藩はいわば解体されることとなってしまう。

 本来「仇討ち」とは武士が肉親や血族などを殺されたとき、その相手に復讐する慣習であるため「忠臣蔵」のような例はまれであった。

 だが、漫画やアニメなどの世界では肉親を、大事な人を殺されたことで復讐に燃える多くのキャラが存在する。そこで今回は「忠臣蔵の日」にちなんで、数ある復讐の物語から「仇討ちに執念を燃やしたキャラ」を振り返りたい。

■家族を殺され妹を鬼にされた少年が挑む鬼退治

「仇討ち」といえば、『鬼滅の刃』の主人公、竈門炭治郎を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。

 2023年4月よりフジテレビ系にて新作アニメエピソード「刀鍛冶の里編」が放送されることが決定した同作。炭治郎は炭焼きを営む竈門家の長男で、病弱だった父亡きあとは大黒柱となって母や5人の弟妹たちを支えていた。そんな彼が炭を売りに行き、翌日家に戻ると母親と妹弟が鬼に惨殺され、かろうじて生き残った妹・禰豆子が鬼化していた。

 山奥で家族とともに静かに暮らしていた炭治郎にとって、受け止めきれない悲劇であっただろう。鬼殺隊の柱である冨岡義勇と出会った炭治郎は禰豆子を人間に戻す方法を探すため、厳しい修行を経て鬼と対抗できる刀と呼吸を持つ「鬼殺隊」へと入隊する。

 そんな炭治郎にとっての「仇討ち」とは、鬼という人間を襲う存在をこの世から消し去ること。つまりは鬼を生み出す存在である鬼舞辻無惨を打ち倒し、悲しみの元凶である全ての鬼をこの世からなくしてしまうことである。

 吾峠呼世晴氏による原作漫画は2020年5月に完結したが、新たなアニメで炭治郎の活躍がどのように描かれるのか楽しみだ。

■両親を殺された少女が不死身の用心棒と仇討ちの旅に

無限の住人』のヒロイン・浅野凜も仇討ちに執念を燃やした名キャラだろう。

 沙村広明氏のデビュー作である同作は、天津影久が率いる逸刀流の剣客集団に両親を殺された少女・浅野凜が、仇討ちの旅に出る剣客アクションだ。

 両親の仇討ちを誓い、合口「黄金蟲」を使った技「殺陣黄金蟲」を独学で考案するも、自身の実力では仇討ちは叶わず。そして不死身の剣士・万次に用心棒を頼むが、それでも彼女の復讐が楽になったのかと言えばそうではない。

 一人目の復讐相手である逸刀流・黒衣鯖人は、女性に対する偏愛の持ち主で、愛するあまりに殺した妻の首を剥製にして右肩に縫い付け、同じく凜の母親の首を左肩に縫いつけていた。そのうえ凜に対しての執着もすさまじく、両親殺害の張本人でありながら2年間も彼女に対して恋文を送り続け、そのおぞましい両肩を見せ剥製になることを強要するほど。

 そんな恐ろしすぎる相手が次から次へとやってくるのが凜の選んだ仇討ちの旅だった。基本的には幼く力が弱く、ヘタレなところがある凜だったが、それでも暗殺者集団に所属していた女性・百琳に触発されて単独で動くなど、彼女の場面場面での成長の姿にページをめくる手を何度も湿らせてしまう。

 全30巻に渡って描かれた『無限の住人』。凜の仇討ちは実を結ぶのか、未読の方には是非最後まで見届けてもらいたい。

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