漫画『SLAM DUNK』を原作とした映画『THE FIRST SLAM DUNK』が、202万人動員、興行収入30億円を突破する大ヒットを記録している。作者である井上雄彦氏も映画の公開後にファンに感謝を伝える形でツイッターを更新し、湘北高校メンバーである潮崎や角田といった懐かしの部員たちのイラストを公開。年末に向けて、いま再びスラダンブームが巻き起ころうとしている。
同作は、1990年から1996年まで『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されたバスケ漫画で、高校バスケ部にズブの素人として入部した主人公・桜木花道が仲間たちとともにインターハイ優勝を目指す物語。実際に漫画の影響でバスケの競技人口が増えたという統計もあり、日本バスケットボール協会の発表によると、1990年の段階で81万人だった競技者数登録人数が、『SLAM DUNK』連載終了時の1996年には100万人を超えている。
このように日本にバスケットボールを普及させるきっかけともなった『SLAM DUNK』。派手なプレイや白熱した試合展開だけでなく、戦術や細かいルールなどが分かりやすく描かれているため、耳慣れない用語を同作で覚えたという人も多いのではないだろうか。そこで今回は、筆者が『SLAM DUNK』で覚えた、真似したバスケ用語について振り返りたい。
■『スラダン』で知ったルールたち
「トラベリング」「ダブルドリブル」といった初級のバイオレーションだけでなく、作中ではあまり聞きなれないものもいくつか登場してきた。
たとえば筆者がはじめて知ったのは、すごく悪質なファウルで直ちに失格、退場になると説明されている「ディスクォリファイイング・ファウル」だ。
バスケットにおけるファウルがかなり重要なのだと知ったのも『SLAM DUNK』からで、このファウルが実際に登場したのは、神奈川県予選第一回戦における三浦台戦の最終局面。桜木が自らの公式戦デビューを華々しく飾ろうとダンクシュートを狙うも、惜しくも相手チーム主将の頭部にボールが突き刺さってしまう。赤木が審判に「ディスクォリファイイング・ファウル?」と確認し審判が「いや、5ファウル」と答えるやりとりが滑稽な、まだギャグ要素が多かった時期の1コマだ。
また「インテンショナル・ファウル」も同作で覚えた人が多いのではないだろうか。これは故意のファウルのことで、2本のフリースローが与えられ、さらにファウルされたチームのボールから再スタートされると説明されている。
筆者が確認したところ、このファウルが作中で登場するのは4回。翔陽戦で桜木が取られたファイル。海南大付属戦でダンクを仕掛けようとした桜木に対する牧のファウル。次に豊玉戦で流川に対して取られた南のファウル。そしてもう1回は山王工業戦で、速攻を仕掛けようとした宮城に対して深津が仕掛けたファウル。どれも、試合の流れが変わるきっかけとなった。
なお、このファウルは現在では「アンスポーツマンライクファウル」と名称が変更となっている。
最後に、「バスケット・インターフェア」。作中では、シュートしたボールが落ち始めてからリングより上にあるとき、ディフェンスはボールに触れてはならない。触れた場合、入らなくても得点になる、と説明されている。
このファウルは湘北対陵南戦で、桜木が福田のシュートをブロックしたシーンで登場した。このファウルを吹いた審判は「そういえば…高校の試合でインターフェアをコールしたのは初めてだな…」と思い返す。改めて読み返すと、このように桜木の才能が開花する瞬間にファウルが絡んでくることが多い。それだけ彼が、常識の枠に収まらない天才選手だということなのだろう。