■現時点で世界一のストライカーはW杯で優勝していない!? 元ブラジル代表のロナウドのみ
意外かもしれないが、“世界一のストライカー”と謳われるメッシやC・ロナウド、ネイマール、レヴァンドフスキには、W杯優勝経験はない(W杯カタール大会2022準々決勝時点)。久保の言う「押し通すだけの“個”の力」だけでは、優勝にはなかなかたどり着かないということだろうか。
近い存在なのがフランス代表のエムバペだろうが、どちらかというとストライカータイプではなさそうだ。筆者的にW杯優勝メンバーで絶対的なストライカーといえば、元ブラジル代表のロナウドを思い出す。彼はリバウド・ロナウジーニョ・カカといった中盤のスター選手たちを抑えて光っていた。
そういえば、W杯では2列目~3列目の選手が活躍しやすい。2010年のスペイン代表はシャビやイニエスタが中心となってゼロトップで優勝していた。ほかにも、1998年フランス代表のジダン、2006年イタリア代表のトッティやピルロ、2014年ドイツ代表のクロース、2018年フランス代表のグリーズマンやポグバたちは、皆ワントップではなかった。
もしも、絶対的な個を作り出すストライカーが日本にいれば、最強の2列目から3列目を破壊することができ、作中で絵心が言うようにW杯で優勝するチームに導けるのかもしれない。
なるほど、まんざら『ブルーロック』で提言されているエゴイズムのストライカーは絵空事ではないのかもしれない。欧州クラブのトップストライカーたちは移籍金が百億円を超えており、経済の中心にもなっている。そんな輩と互角に戦うためにはチームプレーなど言っていられないのだ。
ただ、代表監督にトルシエやオシムがいたならば、日本フットボール協会や絵心にも強烈に言い返してしまい、この「青い監獄プロジェクト」は成功していなかったかもしれない。
カタールでのW杯もいよいよ大詰めを迎えている今。この機会に斬新なサッカー漫画『ブルーロック』を読んでみてはいかがだろうか。