エゴイストになれ!“世界一のストライカーを育成する”漫画『ブルーロック』と『サッカー日本代表』の共通点を探ってみたの画像
週刊少年マガジンコミックス『ブルーロック』第1巻(講談社)

 世界中が熱狂している『FIFAワールドカップカタール2022』。連日のサッカー観戦で、寝不足のまま仕事に向かう人も少なくないだろう。

 さて、日本代表は惜しくもベスト16で敗退してしまったが、筆者的には若きエースでもある久保建英のコメントが心に刺さった。「よく言えば、チームとしてやることはやれましたけど、悪く言えば、自分のやりたいことはやれなかった。こういう大会でチームが優先されるのは当たり前ですけど、押し通すくらいの"個"が僕にはなかったかと」というものだ。

 このコメントを見てリンクしたのが、“世界一のストライカーを育成する”サッカー漫画『ブルーロック』だ。そこで、筆者的に日本サッカーと『ブルーロック』の共通点を探してみようと思う。

■“世界一のエゴイストでなければ、世界一のストライカーにはなれない”『ブルーロック』

 見出しのように強烈なインパクトを誇るのが、原作:金城宗幸氏、作画:ノ村優介氏による『ブルーロック』(講談社)だ。

 本作は、主人公・潔世一を中心に300人の高校生ストライカーたちが「青い監獄(ブルーロック)プロジェクト」に集められ、コーチ・絵心甚八によって“世界一のストライカー”になるべく、仲間と雌雄を決していくという物語。

 実はこの漫画、最初からかなり過激だった。なんせ第一話から、岡ちゃん(岡田武史)やカズ(三浦知良)、オシムといった、サッカーを知らなくてもすぐに分かるような実在する有名選手や監督たちの名前を出しているのだ。しかも、少し卑下している感じすら見受けられる……。

 漫画だから許容範囲になるのかもしれないが、本田圭佑や香川真司をスターだという高校生に対し、絵心が「そいつらってW杯優勝してなくない? じゃあカスでしょ 世界一になる話してんだけど?」と言うくだりは、もはや炎上を見越しているほどだ。

 さらに絵心は言う。「世界一のエゴイストでなければ 世界一のストライカーにはなれない」と。筆者が小学生当時に流行った「ボールはともだち」という概念は、彼にはまったくないようだ。

 ただ、確かに世界のストライカーたちはエゴイストばかりでもあるように感じる。実際、ゴール前でパスがこないと味方にキレ気味になる選手は多い。C・ロナウドはキャプテンだが、明らかに悔しそうな表情をする。なるほど、他人を蹴落としてでもゴールを狙う姿勢がストライカーには必要というのは、一理あるのかもしれない。

■日本サッカー長年の課題“決定力不足”を解消!圧倒的な“個の存在”を育て上げる

 日本代表は長年、“決定力不足”に悩まされていると言われている。もちろんW杯に出場するのは強豪国ばかりなので、点を取りづらいという面もあるだろう。

 では、日本代表における絶対的エースといえば誰になるだろうか。かつてはメキシコ五輪の得点王の釜本邦茂、ブラジルでプロ契約を勝ち取ったカズこと三浦知良もいたが、それはあくまでもアジア予選の話であり、W杯の常連となってからは思い浮かばない。唯一当てはまりそうなのが高原直泰だが、体調面やケガで本領発揮できなかったのが残念だった。

 この『ブルーロック』は点取り屋のストライカーを育てるストーリーだ。サッカーは11人でプレイするものだが、チームプレーに走るのではなくエゴイストなストライカーに周囲が合わせる圧倒的な“個の存在”がゴールという革命を起こす。

 日本の決定力不足を補う存在は世界レベルに追いつくためにも重要で、この青い監獄内で行われているセレクションは意味のあることなのだろう。

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