■神が普通の少年に与えた究極の義眼!『血界戦線』レオナルド・ウォッチ
「視界共有能力」というと、どこかサポート向きで地味な印象を受けるものの、それも行きつくところまで行くと、とんでもない現象を引き起こせたりするものだ。
『ジャンプスクエア』(集英社)にて連載された内藤泰弘氏による『血界戦線』の語り部・レオナルド・ウォッチことレオこそ「視る」という能力を突き詰めた珍しいキャラクターである。
レオは武器や戦闘術を持っていないごく平凡な少年なのだが、特筆すべきはその眼窩に埋め込まれた青く光る「神々の義眼」だ。これは正真正銘、「神」によって創られ、レオが過去の事件を経て与えられた稀少品である。
他者の視界を共有するのは序の口で、“超光速の挙動を捉える”、“物体の透視”、“視覚感覚を辿り、敵の本体を見つける”、“残留思念を見ることで対象を追跡”など……こと視力を使うという一点においては、まさに神がかり的な能力を有している。
さらにレオは劇中でこの義眼の使い方を掴んでいき、他者の視界を共有したうえで“シャッフルさせて混乱”させたり、さらには共有した相手の視界を操作し“対象を視えないと錯覚”させるなど、直接的な攻撃能力こそ持たずとも多彩な応用方法を見せつけた。
劇中の登場人物らに比べると確固たる戦闘能力を持たないレオだが、手に入れた義眼を活用し、数々の窮地を乗り越えていくこととなる。「神」の如き能力と平凡な少年の組み合わせが、なんとも奇妙で面白いキャラクターだ。
人間が持つ五感のなかでも、非常に多くの情報を得ることができる視覚だが、これを共有する力は、使い方次第で戦況を大きく変えるだけの可能性を秘めている。
仲間の連携を強化したり、他者の隙を補ったり、相手の判断を狂わせたり……その使い道も応用法も、実に多種多様だ。味方にすれば心強い能力である一方、敵にしてしまうと、これほど厄介な存在もいないだろう。