バトル漫画において、己の肉体を駆使した格闘術で戦うキャラクターは数多く存在する。だが、「蹴り技」を主体として戦う人物はあまり多くなく、意外にもレアリティの高い存在となっている。ときに優雅にときに力強くアクロバティックに……己の「足」に絶対的自信を持つキャラクターについて見ていこう。
■足は戦うため、手は料理のために!『ONE PIECE』サンジ
「蹴り技」と聞けば、尾田栄一郎氏による国民的人気漫画『ONE PIECE』(集英社)の登場人物・サンジを真っ先に思い浮かべる方も多いだろう。サンジは主人公・ルフィが率いる“麦わらの一味”のコックを務めながら、いざとなれば鍛え上げた足技を駆使し、立ちはだかる強敵たちと激闘を繰り広げる。
彼の料理の腕前と足技は、海上レストラン「バラティエ」で働いていたとき、オーナーのゼフから直々に叩き込まれたものだ。彼はもともと「赫足(あかあし)のゼフ」という異名で恐れられた人物で、“自分の手は料理をするためのもの”という信条ゆえに、戦闘では足技のみを使っていたことで有名である。
サンジもゼフの信念を受け継いでおり、戦いはすべて足技のみでこなす。「羊肉(ムートン)ショット」や「仔牛肉(ヴォー)ショット」といった料理名を模した技をはじめとし、高速回転を使って足に炎を発生させる「悪魔風脚(ディアブルジャンブ)」や、それを発展させた「魔神風脚(イフリートジャンブ)」など、その足技は劇中にて進化の一途をたどっている。
劇中ではさまざまな「悪魔の実」の能力者が登場するなか、あくまで“己の足一本”という肉体性能のみで強敵たちと渡り合う姿は、彼の高い実力がなせる業だろう。麦わらの一味の「コック」として、実に頼りがいのある人物である。
■盲目をものともしない達人の立ち振る舞い!『北斗の拳』シュウ
1983年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載された原作・武論尊氏、作画・原哲夫氏の格闘漫画『北斗の拳』には、数々の特徴を持った流派が登場する。そのなかで足技を主体として戦うのが、南斗白鷺拳の伝承者であるシュウだ。
荒廃した世界を舞台に、さまざまな人物が力で暴虐の限りをつくすなか、シュウは人格者として弱き人々を守り、戦い続けている。目が見えないながら高い実力を持つ彼の足技は、静かでありながらも優雅に並みいる敵を切り裂いていく。
劇中では相手の攻撃をかわしながら逆立ち状態で蹴り上げる「烈脚空舞」や、回し蹴りによって周囲の敵を切り裂く「南斗烈脚斬陣」といった技を見せているシュウ。全盲というハンデをものともせず戦う姿はまさに達人の域で、並の暴徒程度ならばものの数ではない。
劇中では奇しくも宿敵・サウザーを前に敗北してしまうのだが、拳士としての技と心は主人公・ケンシロウにしっかりと受け継がれている。戦いのなか、ケンシロウが新たに成長するきっかけをも作った非常に重要なキャラクターと言えるだろう。