男女ペアで打つ「ペア碁」も! 囲碁を愛する人々と新たな楽しみ方を描く“囲碁漫画”3選の画像
『群舞のペア碁 第3巻』(双葉社)書影

 どこかとっつきにくい、小難しい印象を持たれることも多い“囲碁”というゲーム。しかし2022年に9歳の史上最年少プロ棋士がデビューしたことで、囲碁は最近では若者のあいだでもじわじわと話題になっている。

 囲碁漫画といえば『ヒカルの碁』を思い浮かべる方も多いだろうが、それ以外にも魅力的な作品は数多くある。今回はそのなかから、ガッツリ囲碁というよりはむしろ、囲碁を愛する人々のほうにスポットを当てた作品を紹介していこう。

 ルールを知らないまま純粋に作品を楽しむも良し、読んでいるうち囲碁に興味が湧いたならイチから勉強してみるも良し。ぜひ自分の楽しみ方を見つけていただきたい。

■ほんわかまったりとした雰囲気がクセになる!『みことの一手!』

 宇城はやひろ氏による『みことの一手!』は、黒髪と眼鏡が特徴の地味な女子高生・みことが主人公の囲碁×日常漫画である。囲碁部に所属しているみことは高校生離れした棋力(囲碁の強さ)を誇っており、とにかく囲碁が大好き。そんな彼女は、“囲碁星人”と評されるほど囲碁を愛する幼なじみ・蛍のほか、「(囲碁で)力でねじ伏せられるのも好き」と公言するちょっとヤバい後輩・葵、ピュアで抜けたところのある新入部員・文香という個性豊かなメンバーとともに、思う存分囲碁を打つ毎日を送っている。

 本作は囲碁部が舞台になっていることもあり、囲碁をよく知らない人でもとっつきやすいのが魅力のひとつ。日常漫画ならではのほんわかまったりとした雰囲気で、登場人物たちが囲碁をまっすぐに愛する姿が描かれていて微笑ましい。ところどころに登場する“囲碁あるあるネタ”にもクスリとさせられる。

 みことたちが心底楽しそうに囲碁を打っている姿を見て、囲碁に興味が湧く人もきっと少なくないはず。そんな方向けに、巻末にわかりやすいルール説明が載せられているのも嬉しいところである。1巻で完結している作品なので、気になる方はまず手にとってみてはいかがだろうか。

■きっと誰かと囲碁を打ちたくなる!『日々碁席 ほっこり碁会所ものがたり』

 笠太郎氏による『日々碁席 ほっこり碁会所ものがたり』は、誰でも囲碁が楽しめる場所である“碁会所”を舞台にした作品。碁会所“〇(まる)”の席亭(店主)とその孫娘・さくらの目を通して、日々この場所にやってくる囲碁好きたちの人間模様が描かれていく。

 作中で出てくる“(囲碁とは)心が行き交うゲーム”という席亭の言葉通り、本作では対局の数だけさまざまなドラマが繰り広げられる。初恋の思い出がきっかけで囲碁を始めた婦人、いつも喧嘩ばかりしている名物コンビ、プロを目指して頑張る小学生など、登場人物は実に多彩だ。1巻完結のうえ読み切りエピソードが並んでいるので、気軽に楽しめるのも魅力である。

 囲碁そのものというよりは、囲碁をめぐる人間がメインで描かれていて、人情味あふれるドラマの数々に思わずほっこりしてしまう。囲碁がたんなるゲームではなく、コミュニケーションツールとして愛され続けていることが実感できる作品だ。今やネット上で囲碁が楽しめる時代だが、実際に人と向き合って打つ楽しさがひしひしと伝わってくる。

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