「限定ジャンケン」「中忍試験」主人公だけでなく読者も騙された…甘い言葉で近づいてくる先輩ヅラした“悪いヤツら”3選の画像
ヤンマガKCスペシャル『賭博黙示録カイジ』第1巻(講談社)

 漫画やアニメには他人を騙すために、善人面したキャラがいる。当然そこには裏があって、自分の利になるためにあえて善人を演じているのだ。たとえば冨樫義博氏による漫画『HUNTER×HUNTER』で、ハンター試験の会場でゴンたちに近づき、ことあるごとにワナにかけたトンパもそんなキャラのひとりである。

 他にも甘い言葉で近づいてくる先輩ヅラした悪いキャラがいるので、厳選して紹介していきたい。

■「次オレはこれ……これで勝負するさかい」

 福本伸行氏による『カイジ』に登場する船井は、かなりの悪党と言えるだろう。カイジが何も分からずエスポワールに乗船して、「限定ジャンケン」をすることになった際に、真っ先に声を掛けたのが船井だ。

 船井は自分がリピーターだということを明かし、カイジにこの勝負の必勝法を教える。それは2人で全てを引き分けで終わらせようという提案だった。

 この勝負の重要な点は勝負を長引かせないこと、命綱となる星を減らさないこと、カードを全て使い切ることの3つ。これは経験していないと瞬時に分かることではないし、ジャンケンで勝負をしなければならないので協力者がいなければ、勝敗も操作が出来ないのだ。

 それを聞いたカイジは、初心者だからこそ何の疑いも持たずに完全に信用してしまう。しかしこれこそが船井の罠で、全てあいこの引き分けで終わらせると見せかけ、間違いを装ってカイジに勝ってしまう。

 これにはカイジも焦るが、船井はすぐに「次で帳じりを合わせましょ」「次オレはこれ……これで勝負するさかい」と、自らのカードを晒してカイジに勝たせるようにするがこれも罠。船井は見せたカードと別のカードを出してカイジの裏をかいて勝利すると、そのまま「ごちそうさん」と話して姿を消した。

 カイジはすぐに「あいこの約束を裏切って……」と抗議をしたが、側にいた黒服に止められる。そして、戦場を例に挙げて「ただ……後ろから刺された、それだけだ」と話すと、カイジは何も言えない。そこからカイジは、勝負が戦場だということに気がつき才能を開花させることにもなった。

■狂った正義感を貫き通した不気味なキャラ

 狂気に近い先輩ズラした悪党というと、大久保篤氏による『炎炎ノ消防隊』に登場する烈火星宮が挙げられる。星宮は第1特殊消防隊中隊長で、瞳に星マークをつけた熱血漢の塊のような男。後輩への面倒見が良い優しい先輩……というのは建前で、本当の顔は伝導者の教えを信じる白装束の一味だった。

 これには同僚のカリムやフォイェンはおろか、星宮を慕っていた後輩の環古達も完全に騙されてしまう。そんな裏の顔を持つ星宮は、甘い言葉で子どもたちに近づき、焔ビトを人工的に作り出す実験を何度も行っていたのだ。

 しかも星宮は自らの悪行を全て環に被せようと計画し、それがバレそうになると躊躇なく殺しに掛かり、「俺の代わりに死んでくれ!!」と口にするほどの外道ぶりだ。そして環の窮地に駆けつけた森羅は、カリムたちと協力態勢で星宮を止めに入った。

 星宮はカリムの熱音響冷却によって拘束されることになったが、白装束の一味によって口封じのために殺されてしまう。そこからも星宮は、最後まで狂った正義感を貫き通した、不気味なキャラという印象しかない。

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